防災備蓄倉庫~ただの倉庫を変身~

防災倉庫とは、地域防災の備えとして、さまざまな物資や消耗品が保管・備蓄されている倉庫で、国や県・地方自治体や町内会などが管理しています。ここ近年の災害において前記の防災倉庫だけでは大災害時には万全とは言い切れない想定があり、自助、共助の考えからも、もう少し小さい単位において、つまり集合住宅単体においても防災備蓄倉庫を設置して備蓄対応していくという考えが主流になりつつあります。
ある行政区の例ですが、学校などの避難所に配備している備蓄物資が不足した際にそれを補完するため、区内12ヶ所に防災施設「災害備蓄倉庫」を設置しています。「災害備蓄倉庫」には、食料などの救助物資や避難場所で利用する物資・資機材を保管しています。なお、災害に合っても「災害備蓄倉庫」で物資を区民の方々に直接お渡しすることはいたしません。物資は、小・中学校などの避難所でお渡しする計画になっています。物資などは、元気で体力があり、長い行列を覚悟して取りに行かなくてはならない状況が想定できます。もし身近ですぐに、つまり集合住宅単位で調達できればそういった苦労はなくなります。
また以下は国土交通省の都市開発諸制度を適用する建築計画の一部抜粋、省略です。

「防災都市づくりに関する規定の取り扱いについての目的は活用方針において、大規模災害時における都市の自立性の確保を推進するため、都市開発諸制度を適用するに際しては、大規模災害時における建築物の自立性確保に向け原則として一定レベル以上の取り組みを行うことを条件とし、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設を整備する開発計画については、容積率を一定程度割り増すことができる。防災都市づくりに係る原則として、大規模災害時における建築物の自立性の確保都市開発諸制度を適用するに当たっては、原則として一定規模以上の防災備蓄倉庫を計画することを条件とし、建築主、開発建築物の所有者および開発建築物の管理責任者は、建築物の平面計画、設備の仕様、竣工後の運営等を工夫し、大規模災害時に従業員や居住者などが3日間安全に開発建築物内に留まれるよう、建築物の自立性の確保に最大限努めなければならない。」
ここでは、今後の建築物に関してのことですが、備蓄としては最低3日間必要とし、その見返りとして容積割り増しが記載されています。また自立性という言葉が重要視されています。
では、既存物件として考えるべきこととして重要なのは、今までの空間の活用です。ただの空間としての倉庫を防災備蓄倉庫に変化させる。倉庫内の内容を災害時対策用に見直しましょう。例えば宅配ロッカーの手の届かない上部空間を防災備蓄倉庫に変えてしまう実例もあるようです。
いずれにしても集合住宅所有者は、防災備蓄倉庫について自立性のためにも、今後注目しなくてはならないようです。