避難所での生活における注意点

前回に続き、避難所生活における注意点について列記していきます。まず避難所における生活でとても重要なのが栄養管理となります。目標とする栄養量を目安に、栄養バランスのとれた食事の提供に努め、可能であれば選択メニューの導入など、食事管理が必要な人が内容や量を調整できるように工夫します。治療目的の栄養管理や食事療法が必要な避難者は医療機関に必ずつなぎます。また、補助食品も活用するようにします。
また、生命に関わる重要なものが水分・飲料水の管理です。トイレが整備されないことやさまざまなストレスが原因で水分を摂る量がどうしても減りがちとなります。特に高齢者は脱水に気付きにくく感染症や心筋梗塞、エコノミークラス症候群などの原因にもなるのでしっかりと水分補給をしていきます。また飲料水の衛生管理としてペットボトル入りミネラルウォーターまたは煮沸水を使用し生水の使用はなるべく避けるようにします。給水車によるくみ置きの水もできるだけ当日給水のものを使用し、井戸水や湧き水をやむを得ず使用する場合には煮沸など殺菌することに気を付けましょう。
また衛生面もとても重要な管理項目です。食事の前やトイレ後は流水で必ずよく手洗いをするようにし、調理者は手指の消毒も心がけます。ウェットティッシュなどでも代用できます。配給食を出す場合には食品の賞味期限などを確認します。また避難所内でのゴミを捨てる場所を定め、封をし、ハエ、ネズミやゴキブリの発生を防止します。定期的に避難所全体を清掃し食べ物や残飯などを適切に管理し防虫対策をとります。
他方、入浴ができない場合でも、病気や感染症予防などのためにも体を清潔に保つことが重要です。方法としては、温かいおしぼりやタオルなどを用い足や手などの部分入浴という方法もあります。
避難所周りの環境としてトイレの衛生も重要です。利用者の数に応じた手洗い場とトイレを設置しますが、やむを得ない場合、野外にトイレゾーンを設けることも考えられます。ただし排せつ物による環境汚染が発生しないように工夫し、可能な限り男性用、女性用を区別し、利用しやすいようにします。手指を流水・せっけんで洗えるようにし、消毒を励行します。ペーパータオルを設置するとよいでしょう。トイレへの共用タオルや手洗いバケツの設置は感染症の流行を広げる恐れがあるので避けましょう。ゴミ箱を設置してウェットティッシュを活用するなど、手をきれいにする手段を確保します。トイレは、当番を決めるなどして定期的に清掃、消毒を行います。ゴミもまた分別して定期的に収集し避難所外の閉鎖された場所で管理します。
いずれにしても非常時下、最低限のルールを定め、避難所の掲示板などで周知して皆で守るようにしていきましょう。