非常用トイレがない場合の代用方法を共有

大震災時「水が止まって流せない」「下水管が破損し汚水が流れ出る」など、何日間も復旧の見通しがつかない場合、トイレが本来の使用方法では使えない状況が想定されます。
ではトイレで汚物を流すのに必要な水の量はというと、約8〜10Lは必要といわれています。最近は節水型のトイレもありますが、それでも4L近くは使用します。家庭で使用する水はお風呂よりトイレの方が多いのです。通常、飲み水の道くはしてあってもトイレ用の水の備蓄はしていないと思います。
災害時のトイレ使用不可の状況下において、対応方法が変わります。
まずは下水道が使用可能で水道が使えない場合は、水洗トイレを流すためには、水をバケツなどで直接便器内へ流すことができます。もちろん水を調達できるか、風呂の残り湯が想定されます。タンクで流すよりも節水効果はあります。
次に、下水道が使えない場合は、水洗トイレは使わず、非常用トイレなどを使用するようにしなければなりません。この状況下がかなり問題です。集合住宅の場合、下層階に汚物がたまり逆流してしまうという、最悪の状況も想定できます。下水道破損の場合、いち早く住民に告知してトイレ使用を止めなくてはいけない場合もあります。災害時全てで使用不可にするわけではないので、判断が難しいところです。エレベーターのように止まってしまい使用不可になるわけではないからです。
ではこの非常トイレの備蓄はどれくらい必要でしょうか。トイレの使用回数は一人一日3〜6回です。家族分最低1日間としても、かなりの数量が想定できます。3人×5回×7日=105回。また7日で復旧すれば良いですが、それ以上の場合、大変な数量です。各家庭で非常用トイレの安全な備蓄を誘導するのは不可能かもしれません。それでも非常時の認識のためと、トイレ使用不可の認識のためには各家庭でも少しは備蓄するべきと考えます。
では非常トイレが無い場合の代用方法です。45Lのゴミ袋を便座に二重にかぶせます。底面に汚物が付かないようにするためです。次に、くしゃくしゃにした新聞紙をゴミ袋の中に敷き詰めます。排泄後は、消臭効果のあるものを上からかけます。もし凝固剤があればここで使用してください。内側のゴミ袋を取り出し、空気をなるべく抜いてから縛ります。通常のゴミとは別の箇所に一括して集めます。
ここで各家庭で必要なものは「45Lのゴミ袋」「新聞紙」「消臭剤」となります。そして集合住宅として必要な「保管のための可能な限りの密閉容器」と、できれば事前に決めておきたい「集積場所」となります。
いずれにしろ、通常の生活に戻るには、長期的な災害下では「トイレ」が生活に密着した重要なことであり、備蓄としての食料とは全く違った考えの基に、事前に考えておかなければなりません。