防災訓練にはさまざまなやり方があります。実地訓練があれば机上訓練もあります。一番注意しなくてはならないのが頭で理解しているから大丈夫という考え方です。体に覚えさせることがいかに重要なのか、また実際にやってみて気づくことは多々あります。

今回は防災訓練を実際に行ってみて気付いた例を紹介します

まずは「担架」です。実際に担架を持ってみると意外に重く、横になってみると不安定感もあります。負傷した場合を想定し階段で降ろす実地訓練をしてみると、階段が狭く直角に曲がっていて、担架に人を乗せては回らないことが判明し、担架の持ち手を短く切断、担架以外の方法で上階から降ろす、階段昇降機の導入等を検討した例があります。
また、担架の使用方法を根本から検討し、また代用方法も行ってみました。代用としては、例えば「毛布」「厚手の長袖シャツやトレーナー」と「棒」を使用しても可能でした。使用方法については、平たんな場所での担架は多少なりとも体力や腕力等があれば十分可能でしょう。しかし階段や震災時の足場が岩やがれき等で歩行すら困難な場所だと担架使用が逆に危険になってきます。担架の使用自体を中止せざるを得ない状況もあるわけで、そういう意味において使用する側と使用される側の人と使用する場所をよく検討しなくてはなりませんでした。
次に、「車椅子」の一例をご紹介致します。病院などでよく見かける車椅子ですが、病院はもともと車椅子を利用可能な設計の基に建設されています。フロアも車椅子の移動しやすい材質になっています。一般道路、ましてや被災地でのがれきなどで散らかった道路は車椅子での移動を困難にします。実際に乗ってみると注意を払わない押し手の場合には「恐さ」を感じることもあります。乗る方は全面的に介助する押し手を信頼して託します、押し手にも「簡単な技術」と「注意」は必要となります。それが他人ともなれば「細心の注意」となります。
このような身近な「防災用品」でさえ実際に使用訓練してみてわかることが多くあります。ぜひ今後は資機材使用訓練を防災訓練の一つとして取り入れてください。