路線価上昇。沖縄初5%!全国は0.7%で3年連続プラス。

国税庁が2日公表した2018年分の路線価(1月1日時点)によると、全国の平均変動率が3年連続上昇し、前年比0.7%プラスとなった。都道府県別で上昇率トップとなった沖縄県では、現在の統計方法となった2010年以降初めての5.0%と大幅な伸びをみせた。

熊本2年ぶり上昇。福岡、佐賀、長崎も・・・

九州・山口・沖縄9県の路線価の平均変動率は、福岡、熊本、佐賀、長崎、沖縄の5県で前年と比べて上昇した。熊本地震の影響で下落していた熊本は0.7%プラスと2年ぶりに上昇に転じた。山口、大分、宮崎、鹿児島の4県は下落した。
熊本県の最高路線価は、熊本市中央区手取本町(下通り)の1平方メートル当たり150万円で前年比22%増。上昇率は全国の県庁所在地の最高路線価で2位の高さだった。県内では熊本地震で被災した建物の建て替えが進む益城町でも平均3.4%上昇した一方、交通インフラが復興途上にある阿蘇市で1.8%下落するなど被災地で二極化傾向がみられた。
他の4県の上昇率は「沖縄5.0%」「福岡2.6%」「長崎0.7%」「佐賀0.2%」。観光客増加で交通インフラの整備が進む沖縄は4年連続、福岡は3年連続の上昇で、長崎、佐賀も上昇に転じた。残る4県の下落率は「鹿児島1.5%」「宮崎1.1%」「山口0.5%」「大分0.2%」。
9県の税務署別の最高路線価は38年連続で「福岡市中央区天神2丁目の渡辺通り」(ソラリアステージ前)の1平方メートル当たり700万円。福岡市では再開発事業「天神ビックバン」の進展などでオフィス需要が一貫して改善傾向にあり、ソラリアステージ前は前年比11.1%増と5年連続で上昇した。

●九州7県の税務署別最高路線価の上位10位

●山口・沖縄の税務署別最高路線価トップ

(かっこ内の数字は前年順位。路線価は1平方メートル当たり、単位・千円。変動率は前年比・%)

大都市と格差解消遠く、地方圏29県がマイナスに

路線価は3年連続で上昇し、地下の回復基調を裏付けた。アベノミクスによる大規模金融緩和や訪日外国人旅行者の増加が大都市圏を中心にホテルや商業施設の需要を喚起し、地価の上昇に結びついた。しかし、人口減少が続く地方圏への波及効果は限定的で、大都市と地方の格差は解消していない。
全国の平均変動率が3年連続で上昇したのは、リーマン・ショック前で「戦後最長の景気回復」が続いた2006〜08年以来となる。上昇率は16年0.2%、17年0.4%、18年0.7%と緩やかながらも、ほぼ倍増している。不動産協会の菰田正信理事長(三井不動産社長)は2日、「緩やかな経済の回復が続き、デフレ脱却の道筋を確実に進んでいることが、地価に反映されたと評価している」とコメントした。
都道府県別では沖縄県をはじめ18都道府県が上昇したが、東北、北陸、四国など地方圏の29県がマイナスとなった。
地価は3大都市圏などで上昇し、地方圏でマイナスが続く二極化の構図は変わらないが、駅前再開発などでマンションやテナント需要が堅調な滋賀、佐賀、長崎、熊本の4県がマイナスから上昇に転じた。横ばいだった石川県は北陸新幹線開業に伴うホテル建設ラッシュが一段落してマイナスとなったものの、下落した29県のうち、18県で下落幅が縮小するなど、地方圏でも地価は下げ止まりつつある。
不動産サービス大手のCBREは「ここ数年は金融緩和だけでなく、オフィスや商業施設の需要が高まり、資産価値上昇の流れが地方都市にも拡大している」という。三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫投資調査第1部長は「今回の地価上昇は金融緩和が起こしたといえる。超低金利で運用難の機関投資家の資金が不動産に流入している。しかし全国すべての地価が上昇することにはならない。過疎化、衰退している都市や地域の地価は今後も下落するだろう」と見る。