官民で開発、借り手の負担減

毎月の返済負担を軽くする新たな住宅ローンの開発に官民が乗り出す。
国土交通省は住宅購入時の借入額と将来的な住宅価値の差額のみを返済する「残価設定型」のローン普及に向け、2021年にも民間の金融機関が参加するモデル事業を始める。

残価設定ローンは借入額と将来の住宅価値の差額のみを返済する仕組みだ。
将来の残価をあらかじめ設定し、住宅価格から差し引いた額を分割して返済する。
ローンが満期を迎えた際は(1)残価で住宅を買い取る(2)再度ローンを組む(3)家を売却する・・・といった複数の選択肢がある。
家は残価で買い取ってもらえ、売却すればローンは完済となる。

借り手にとっては毎月の返済額を低く抑えられるのが最大のメリットだ。
自動車では一般的な仕組みだが、住宅ローンでは昨年11月に新生銀行が取り扱いを始めた程度で普及していない。
国交省は来年度に金融機関や業界団体などから提案を募り、残価設定ローンの推進に向けたモデル事業を実施。
試行的な取り組みだけではなく、市場への投入を前提としたプロジェクト費用を助成して普及につなげる。
残価設定ローンが広がらない背景には日本の特殊な住宅事情がある。
日本の住宅は「建築から20〜25年が経つと資産価値がほぼゼロになる」と言われてきた。
雨風や湿気で住宅の劣化が進みやすいこともあるが、金融機関に建物の良質性を評価できる経験や知見が乏しい点も大きな理由だ。
モデル事業では残価設定の肝になる将来的な住宅価値を評価する手法の研究費用や、建物の質に応じた融資額の設定方法などを特に重視して助成する方針だ。
欧米では中古住宅の流通シェアが7〜8割強に達する国もある中で、日本は10%台半ばの水準にとどまる。
※日本経済新聞より引用