コロナウイルスの感染拡大が各地の経済に影響を及ぼすなか、福岡市ではウイルスに強いビル開発を誘導する新しい取り組みがスタートした。
市では「感染症対応シティ」を実現し、新たなビジネスの呼び水にすることをめざす。
福岡の不動産への投資ニーズは、コロナ禍にあっても依然として高い。
なかでも物流施設については開発の動きが活発化し、投資エリアも拡大している。

コロナウイルスの感染拡大が、福岡の街づくりにも影響を与えている。
市は2020年8月、感染症対策を講じた都心部のビル開発に対し、インセンティブを与える新たな施策を打ち出した。
高い換気性能や非接触の設備、身体的距離の確保などを施したビルには、容積率を最大50%緩和するとともに、2024年末までの竣工が条件だった「天神ビッグバン」の期限を2年間延長するという内容だ。
「世界最速で感染症対応シティをめざす」「新しいビジネスを呼び込むチャンスになる」。
高島宗一郎市長は、新たな施策の狙いを、記者会見の場でこのように語った。
国際金融センターの誘致にも力を注ぐ福岡市。
感染症に強い都市に作り変えることで存在感を高め、国内外の企業の誘致を推進していく考えだ。

こうした行政の動きに、民間の事業者も歩調を合わせる。
福岡地所が開発する天神ビジネスセンターでは、換気性能を法が定めた基準値の1.7倍以上に高める。
ドアノブアンドもウイルスが付着しにくい素材にする。
「すでに建築が進んでいるため、感染症対策による容積率の割り増しは受けられないが、市の考え方に沿った開発をめざす」(福岡地所)。
西日本鉄道が計画中の福ビル街区建替プロジェクトでも、、高性能の換気システムや非接触エレベーターシステムの導入、ゆとりある歩行空間の確保など、様々な感染症対策が採用される予定だ。

▲天神ビジネスセンターの完成予想図(資料:福岡地所)
※日経 不動産マーケット情報より引用