マンスリーマンション(以下、マンスリー)市場が盛り上がりを見せている。
研修や長期出張といった従来の法人の需要が復活。
さらにインバウンドを背景にホテル不足が顕在化し利用の動きが広がっている。
研修利用100戸規模
新型コロナウイルス禍を経て、マンスリー運営事業者は勢いを取り戻している。
全国で6000戸のマンスリー物件を運営するリブ・マックスでは、2023年2月以降、マンスリー事業の売り上げが毎月前年同期比で平均5%ずつ伸び続けいている。
特に、24年に入ってからは企業による研修利用が復活しており、中でも50〜100戸規模で予約するん法人が増えたという。
同社はコロナ禍を受けて、それまで9000戸あった運営物件を一時期は5500戸まで削減した。
23年からマンスリー需要が伸びたため、運営数を500戸増やして繁忙期を迎えていた。
マンスリーマンション事業部は「コロナ禍の経験があり、物件の仕入れは慎重に行なった。結果的には、もう少し運営戸数を増やしても稼働できた実感はある」と話す。
今後は、メイン商圏である1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)に加えて、地方での物件取得にも注力し、運営戸数を1万戸まで増やす考えだ。
英語版サイト公開
関西地方でマンスリーを含めた賃貸物件を2万6700戸管理する長栄でも、マンスリー事業は堅調だ。
4月のマンスリー運営戸数は前年同月比で40戸増加した(運営戸数は非公開)。
4月のマンスリー事業の売り上げは2889万円と、前年同月比241万円の増となった。
24年4月の平均稼働率は97%だった。
マンスリー事業部は「好調の要因は企業の研修利用だ。23年まではリモートで研修を行なっていた企業が、コロナ禍前の対面に戻す傾向にある」と話す。
同社は新たにインバウンド需要を狙う。
英語版のマンスリー予約サイトを1月に公開。
海外向けには、直前キャンセルなどのリスクも踏まえて通常よりも3割高い料金を設定している。
観光業が盛んな京都府で、収益源としてマンスリー事業に向ける期待度は高いようだ。
全国で1700戸のマンスリー物件を運営するmatsuri technologies(マツリテクノロジーズ)では、マンスリー事業の売り上げが24年4月は2億5000万円で、前年同月比1億5000万円増と大幅に伸長した。
「マンスリー市場は復活した」と話す。
反響数は2割増
Weekly&Monthly(ウィークリーアンドマンスリー)が運営するマンスリー物件のポータルサイト「W&M(ウィークリー&マンスリー)」では、23年4月と比較し、24年4月は反響数が120%に増加した。
「マンスリーの新たな利用者層に注目する必要がある」と語る。
その一つが、ホテルの宿泊価格高騰によりマンスリーを選んでいる法人だ。
国内の長期出張の利用者層がホテルからマンスリーに流れているという。
そのため、大都市以外の地方でも観光地を中心にマンスリーの人気が上昇している。
4月のマンスリー市況は、新型コロナウイルス禍からの復調の加えて新たな利用者が顕在化した。
運営事業者の今後の展開にも注目したい。