
賃貸住宅の設備の中で、宅配ボックスのさらなる需要増加が予測されている。全国賃貸住宅新聞が不動産会社に実施したアンケートにおいて「今後需要が高まると考えられる設備」の第1位に「宅配ボックス」が選ばれた。防犯や防災、IoTといった設備の需要増を見込む会社もある。
今後、需要が生まれると思われる設備 TOP10

※全国賃貸住宅新聞調査内容を基に作成
新築9割に設置 家賃1000〜2000円上昇
全国賃貸住宅新聞は2025年8月から9月にかけて、全国の不動産会社を対象に、入居者に人気のある設備に関するアンケートを実施した。
「今後需要が高まると考えられる設備」1位は、「宅配ボックス」だった。
冷蔵機能付きや全戸に設置しやすい集合ポスト一体型の商品も登場。
付加価値を高める設備として需要がさらに伸びることを予測する声が上がった。
賃貸仲介・管理を行う不動産会社は、宅配ボックスのニーズ増加を感じている。
自身の不在時に荷物を受け取れない単身者はもちろん、共働きのファミリーからも引き合いがあるという。
同社のメイン商圏である大阪府岸和田市において、宅配ボックスは普及の途上だ。
担当者の肌感覚では、岸和田市内の賃貸物件に宅配ボックスが設置されている割合はまだ1割程度だという。
「新築物件には9割方、宅配ボックスが設置されている印象だ。築5年ほどの築浅物件の場合は、宅配ボックスの設置があれば周辺相場より1000〜2000円ほど高い家賃でも成約することができる」
犯罪への警戒増す 学生の親が要望
4位となったのは、TVモニター付きインターホンや防犯カメラ、ホームセキュリティといった防犯関連設備だ。
静岡市の不動産会社は、静岡大学をはじめとした各種学校へ入学する学生の仲介を多く行う。
「年々、学生の親が防犯面を気にするケースが増えてきていると感じる。オートロック付きやTVモニター付きインターホンがある物件への問い合わせが多い」と、担当者は話す。
防犯面への配慮から、物件の条件として2階以上を希望する人も多いという。
「1人暮らしの若者を狙ったいろいろな事件が起きており、そういったニュースを見た親が心配し、物件選びでも条件として提示している」
学生を中心に賃貸仲介を行う不動産会社は、防犯設備のニーズの高まりを実感しているという。
不動産事業部の担当者は、「8月に兵庫県神戸市のマンション内でストーカーによる殺人事件が発生したこともあり、賃貸住宅の防犯意識が高まっていると感じる。
学生向けのワンルームにおいては、オートロック付きのニーズが増加傾向にある。立地条件も加味されるが、オートロック付きだと予算より1万円高くても成約する」と語る。
防犯設備を優先し、学生向けの物件でも共益費込み7万円超の成約も少なくないとした。
そのほかにも、防犯カメラやTVモニター付きインターホン、「SECOM(セコム)」のようなホームセキュリティサービスは、防犯意識の向上に比例してニーズが増すと同社はみる。
「特に防犯カメラの設置は、女子学生の親から法人まで入居条件に挙がる」
TVモニター付きインターホンは、オートロックを希望条件にあげて部屋探しをする人の場合、必須設備になっているという。
災害多発で需要 蓄電池に注目
広島県を商圏とする不動産会社の担当者は「近年、台風や豪雨、大規模地震といった自然災害が相次いで発生している背景から、賃貸住宅における防災設備の需要は今後さらに伸びるのではないか」と話す。
防災設備の中でも、防災用コンセントや蓄電池に注目する。
過去に災害などで被災した経験を持つ入居者や、安全確保を重視する層からは防災設備の需要が高まっていくのではないかと同社は考える。
ネット導入の次に新たな差別化要素
年間約500件を賃貸仲介する不動産会社は、今後需要が伸びる設備に「IoT機器」を挙げた。
道内で最も大きいマーケットである札幌市でIoT機器を備えた物件が見られるようになってきた。
今後、ほかの都市にも広がっていくとみる。
不動産部の担当者は「エアコンやインターネット回線など、必須設備はある程度導入が進んだと感じている。新しい差別化要素としてIoT機器が台頭するのではないか」と推測する。
特に、商圏とする千歳市ではエアコンが標準装備されるようになってきており、ioT機器との相性が良いと感じている。
「賃貸仲介の顧客は、個人と法人で半数ずつ。法人顧客から時々、IoT機器が付いた物件がないか尋ねられることもある」



