
インバウンドの反響獲得
大阪市内での民泊の需要が底堅い。大阪・関西万博(以下、大阪万博)の会期終了後も、訪日観光客を中心に、前年同月比と同水準の利用が続いている。大阪市内でも、観光ニーズの高い歓楽街エリアでは、1日あたりの平均客室単価が2万円を超える民泊運営代行会社も出てきている。
11・12月予約順調 料金日割8500円めど
大阪万博の閉会後も大阪市内の民泊は利用者を安定して獲得していることが、事業者への取材で見えてきた。
民泊施設の運営・運営代行を手がける会社は、大阪万博後、一時的に需要が鈍化するタイミングがあったものの、2026年2月ごろまでの民泊の予約状況はおおむね堅調に推移するとみている。
インバウンド(訪日外国人)による宿泊ニーズが手堅いという。
同社は民泊施設を大阪市内で約500室運営する。
加えて、大阪市内での運営代行の受託数は、3500室以上に及ぶ。
民泊の予約は半年ほど先まで受け付けている。
民泊の需要の高低は、宿泊施設で利用されるRevPAR(レブパー)という客室1室あたりの収益額を指標としている。
RevPARはADR(客室平均単価)×OCC(客室稼働率)で算出される。
担当者は「大阪万博開催前の通常時期の水準で、RevPARが8500円に届く月は需要が高まっていると判断していた。会期が終了した今後も、8500円が一つの目安になるだろう」と話す。
大阪万博の開催直後である、25年4〜5月ごろのRevPARは、4月が約1万1500円、5月が約1万円だった。
25年11月〜26年2月ごろまでのRevPARは、前年同月とほぼ同水準の6500〜7500円でおおむね推移している。
26年1月は予約が鈍化するものの、これは、2月に中国の「春節」という大型連休があるためその直前の1月には需要が鈍ることによる。
予約者はほぼ観光客だ。
インバウンドが8割、日本人が2割。
外国人のうち、30%と最多を占めるのは中国人だという。
予約1件あたりの平均宿泊日数は4泊。
大阪市内で特に人気が高いのは、大阪メトロ御堂筋線梅田駅や、同なんば駅周辺だ。
「春先の行楽シーズンで宿泊需要が伸び、ホテルの単価が高まる。民泊はホテルよりも価格が落ち着いており、宿泊ニーズをつかみやすい。民泊の需要は、26年4月ごろまでは手堅く続くだろう」
稼働率70%と安定 環状線内側が人気
640室の宿泊施設の運営代行を手がける会社は、11月以降のRevPARが2万円前後をキープ。
民泊需要の底堅さを感じている。
同社が取り扱う宿泊施設は民泊やアパートメントホテルだ。
運営を代行するか、物件を借り上げて自社で運営している。
640室のうち、450室が民泊新法にのっとった、もしくは特区民泊の施設となっている。
また、640室のうち大阪市内に所在するのは最多の60%に達する。
専用部にはベッドを複数設け、4〜5人が泊まれるつくりとしている。
11〜12月の予約状況は、平均稼働率は約70%(10月中旬時点)。
RevPARは2万円弱をキープしているという。
担当者は「25年内の予約は、直前割などの稼働率を高める仕掛けをまだ行なっていない状況。それでも24年11〜12月と比べおよそ2割増の予約数で推移している」と話す。
25年4〜5月のRevPARは大阪市内全体の平均2万円台前半。
好立地な場所にある施設で2万円台後半であった。
26年4〜5月も、それと同水準に高まっていくとみる。
26年1月の予約状況は、10月中旬時点で50〜60%ほど。
RevPARは、1万円台後半に上る見込み。
いずれの時期の予約も、9割弱がインバウンドで、そのほとんどが観光目的による訪日だ。
「当社が扱う民泊は、観光地にアクセスしやすく宿泊需要の高いJR大阪環状線内に集中している。その立地の良さが、予約が好調な理由だろう。加えて、専有部がホテルよりも広く、複数人で泊まれるため大人数で旅行をする訪日客、日本人客問わず、ファミリー層や若年層グループの需要に合致した」



