【調査】不動産業融資残高は史上最高112兆円
新規融資は減少続く

国内金融機関(銀行・信用金庫・政府系金融機関など)による民間不動産業向け融資の残高は、2021年9月時点で112兆円に達した(図1)。

日本銀行のデータを基に本誌が集計した結果だが、3ヶ月前と比較して1兆333億円の増加。
前年同期からは2兆5997億円の上積みとなった。
2013年9月以降、33四半期連続で史上最高を更新している。
ただし融資の勢いには陰りが見られる。
不動産業向け融資のうち、賃貸用不動産の取得や開発などを目的とした「設備資金」に着目すると、新規融資は2016年の15兆7333億円をピークに漸減している(図2)。

2020年は13兆1104億円で、ピーク時の83%の水準となった。
2021年も前年割れ。
1月〜9月の新規融資額は9兆6569億円と、同期で比べると2014年と同程度、ピーク時との比較では78%にとどまる。
不動産会社の実感もそれに符号する。
図3は融資の受けやすさを指数化したグラフだが、規模の大きい不動産会社では2015年〜2016年ごろ、中堅・中小不動産会社は2016年〜2017年をピークとして徐々にローンを調達しにくくなっている。

2021年9月は特に中小企業の落ち込みが目立つ。
全体としては融資の引き締め方向に動いているといえそうだ。
ただ、日本銀行は2021年10月に公表した金融システムレポートにおいて、「地域金融機関では、コロナ関連融資の伸びが頭打ちとなるなか、不動産業向け貸出に注力し、貸出残高の積み増しを企図する動きが一部でみられている」と言及。
これまでにも経済成長率を上回る勢いで融資を拡大し、信用リスクを必ずしもカバーできない低採算の融資が増えていることや、構造変化リスクをはじめ、コロナ禍下での不確実性が存在していることなどから、その影響に注視していく必要があると指摘している。

【戦略】JR九州が私募REITを組成、来春の運用開始めざす

九州旅客鉄道(JR九州)は12月8日、JR九州プライベートリート投資法人を設立したと発表した。
2022年春の運用開始に向けて準備を進めていく。
投資法人は住宅、オフィス、商業施設、物流施設、ホテルなどを投資対象とする総合型。
JR九州の100%子会社であるJR九州アセットマネジメント(本社:福岡市)が運用を手がけていく。
JR九州は、九州を中心に不動産の開発・運用を手がけてきた。
私募REITを立ち上げることで循環型投資モデルを確立し、開発事業の持続的成長基盤を整備するねらいだ。
今後、積極的に不動産事業を推進し、九州の持続的な発展に貢献するとしている。

※日経不動産マーケット情報より引用