
高齢者の入居を受け入れる際の必須設備となりつつある見守りサービス。
多様なタイプのサービスが登場し、機能・費用によって選べる環境が整ってきた。
2024年の改正住宅セーフティネット法(以下、SN法)公布以降、管理会社から見守りサービス提供会社への問い合わせが増えているようだ。
23年から急伸 手軽さと価格強み
中部電力ミライズコネクトは23年のサービス提供開始以来、導入の手軽さと安価な利用料金を武器に、見守りサービスの保有契約数を大きく伸ばす。
25年12月時点の保有契約数は、前年同期比で9倍以上になった。
同社が提供する見守りサービスは「テラシテR」。
賃貸住宅に設置されたスマートメーターから電力使用量データを取得して分析し、入居者の生活を見守る。
導入時に機器の設置は不要で、月額利用料は1戸990円(税込)。
初期費用はかからない。
過去の電力使用量のパターンと比較して、一定の時間以上電力の使用がなかった場合に異常を検知する。
異常を検知した場合、まず入居者宛てにSMS(ショートメッセージサービス)で安否確認のメッセージが送られる。
SMSで反応がない場合、緊急連絡先に自動音声電話で通知。
それでも入居者の安否確認ができなかった場合は、管理会社にメールで通知される仕組みだ。
全国の管理会社経由で契約をおこなっている。
地域による偏りはない。
管理会社の規模も、管理戸数100戸から数万戸までさまざまだ。
空室に課題感を持ち、高齢者の入居受け入れを始めようと考える管理会社からの問い合わせが目立つという。
家賃債務保証商品に組みこ込まれ、家賃債務保証会社経由で提供される場合も多い。
自治体が契約者となって公営住宅に導入するケースも増えているという。
担当者は「春秋の電力使用量が少ないシーズンの誤探知減少など、管理会社の意見を聞きながらサービスを改善してきた。引き続き利用者とコミュニケーションを取りながら、早期に10万戸への提供を目指す」とコメントした。
社員が現地訪問 値上げ後も導入増
ヤマト運輸は、同社社員が現地訪問まで行う独自の見守りサービスで保有契約数を増やす。
サービス提供開始の20年以来、右肩上がりで保有契約件数を伸ばしてきたが、25年4月に利用料金の値上げを実施。
個人向けの保有契約件数の伸びは鈍化したものの、管理会社を中心とした法人向けは堅調だ。
法人向けの保有契約件数は、25年に前年比で約125%となった。
同社の見守りサービス、クロネコ見守りサービスは「クロネコハローライト訪問プラン」。
トイレなど毎日使う場所の電球をSIM内蔵の電球に交換し、電球の点灯・消灯の有無で入居者を見守る。
月額利用料は1738円(税込)。
電球の設置はヤマト運輸の社員が行い、初期費用はかからない。
24時間以上電球の点灯または消灯がなかった場合に異常を検知し、指定の連絡先に知らせる。
通知先も入居者の安否が確認できなければ、通知先がヤマト運輸の窓口に連絡。
ヤマト運輸の社員が導入住戸を訪問する。
社員はインターホンを押したり郵便受けをチェックしたりと外部から様子を確認し、訪問依頼者に状況を報告。
通知先と相談の上、地域包括支援センターに連絡することもある。
窓口には、多い時で1日に1回ほど訪問依頼がある。
年に数回は孤独死を発見するという。
契約は、個人の直接契約が5割、自治体経由が3割、法人経由が2割となっている。
法人には、管理会社を中心に法人化したオーナーや家賃債務保証会社などが含まれる。
管理会社は管理戸数100〜1000戸ほどの中小規模の企業がメインだ。
特に、地方や郊外において導入件数が多いという。
担当者は「最初は必要な住戸だけに1件導入して、徐々に契約を増やしていく管理会社が多い」と話す。
10年超の提供実績 居住支援の活動も
15年から見守りサービスを提供するホームネットは、改正SN法が公布された24年以降、問い合わせの増加を実感している。
特に大規模な管理会社からの相談が増えているという。
入居者の退去や死去での解約もあるが、25年の保有契約件数は前年比で1割以上増加した。
同社では現在3種類の見守りサービスを展開する。
15年から提供する主力商品「見守っTEL+(テルプラス)」は、週2回入居者の電話に自動架電し、反応の有無で安否を確認する。
孤独死が発生した場合の原状回復費用・遺品整理費用の補償も付帯。
利用料金は、初回登録料1万1000円、月額利用料1650円(いずれも税込)だ。
そのほか、SIM内蔵の電球を利用した安否確認と現地訪問を組み合わせた「HNハローライト」、スマートフォンの利用状況で安否確認を行うエンディングノート付きアプリ「GOOSE(グース)」も提供。
必要な機能や予算に合わせた商品を提案する。
契約は、管理会社や自治体経由だ。
全国で提供しているが、特に九州の管理会社の利用が多いという。
公益社団法人福岡県宅地建物取引業協会(福岡市)が推奨するサービスとして紹介していることが導入の増加につながっているとみられる。
ホームネットは、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への入居をサポートする居住支援法人としても活動する。
29都道府県から居住支援法人の指定を受け、20市区町村の居住支援協議会に参加。
見守りサービスの提供や、自治体職員・オーナー・管理会社向けセミナーへの登壇などを行っている。
担当者は「当社は創業時から高齢者の見守りにフォーカスしてきた会社だ。今後も、自治体や不動産会社と積極的に連携して、高齢者入居を推進する力となっていきたい」と語る。



