高齢者入居2025
管理会社の高齢者入居受け入れ方針が真っ二つに割れている。
受け入れを推進する姿勢の会社と慎重な姿勢をとる会社の数はほぼ同数で拮抗。
受け入れを進める管理会社は、見守りサービス導入や緊急連絡先の確保で孤独死リスクを管理し、オーナーの理解を得る。
慎重も44%で拮抗 孤独死増加を意識
全国賃貸住宅新聞社は、全国の賃貸管理会社を対象に高齢者の受け入れに関するアンケートを実施。
高齢者の入居受け入れの方針は、「積極的に行なっている」「行なっている」と答えた推進姿勢が約56%、「あまり行なっていない」「ほとんど行なっていない」「行わない」と答えた慎重姿勢が約44%とほぼ半分に割れる形となった。
管理物件の入居者に占める65歳以上の割合では、約半数が1割以下と回答した。
「1割超3割未満」の回答は3割で、「3割以上」の回答はなかった。
宮城県を中心に約6800戸を管理する管理会社では、管理戸数の増加に伴い、高齢者が入居する物件が増加している。
管理物件の入居者に占める65歳以上の割合は10%台前半。
直近2〜3年は管理物件での孤独死も毎年発生するようになり、高齢入居者の孤独死リスクを意識するオーナーも増えてきたという。
これに対して同社では、2025年の繁忙期から電気の使用量を活用した見守りサービスを導入した。
担当者は「地域の人口が減少する中、高齢者の入居をまったく受け入れずに入居率を保つのは難しい。70歳くらいまでの人や近隣に身内が住んでいる人については、見守りサービスや保証サービスを利用しながら入居を進めたい」と話す。
定借活用、敷金増 入居時の条件に
高齢者の入居受け入れ時の条件を聞いた設問(複数回答)では、多様な回答が寄せられた。
最も多かった回答は「見守りサービスの契約」で42社。
次点が「残置物処理に関する死後事務委任契約」で19社だった。
特にないという回答や、孤独死や残置物処理に対する保証金が出るプランを持つ保証会社との契約を条件としているという回答も複数見られた。
そのほか緊急時の連絡先を確保するための条件として、親族が近所に住んでいる、身元引受人との覚書をかわすといった回答があった。
契約に関わる条件としては、2年間の定期借家契約を締結する、敷金の積み増しなどの回答が挙げられた。
中国地方で約3万6000戸を管理する管理会社では、見守りサービスの契約と緊急連絡先の2点を受け入れ条件とし、積極的に高齢者入居を進める。
25年6月2日時点で管理物件の入居者に占める65歳以上の割合は10%弱だ。
導入する見守りサービスは、居室に設置した電球が24時間以上、点灯・消灯されないときに緊急連絡先に電話で連絡が入るシステムだ。
月3000円の利用料は入居者負担としている。
緊急連絡先に電話がつながらなかった場合は、管理会社に通知がくることになっている。
通知がきた場合は、管理部の中で小修繕や物件の巡回を行なっている20人ほどのチームのメンバーが物件を訪問するという。
同社は17年に見守りサービスを導入し、オーナーへの周知を進めてきた。
「オーナーには定期的に、明細書にチラシを同封し見守りサービスの導入を周知してきた。現在は65歳以上でも入居できる物件の割合は9割以上だ」