〜集合住宅における防災と防犯〜

災害時のために燃料貯蓄のすすめ

阪神・淡路大震災や東日本大震災を経て、防災用としてカセットコンロや七輪を検討し備蓄する傾向があります。カセットコンロは電気・ガスが使用不可になった場合に瞬間着火・瞬間消火が可能で誰にでも使用可能です。しかし復旧まで長期間となるとカセットボンベは膨大な量が必要になり、2人家族で1週間に必要なカセットボンベが約7本といわれています。スプレー缶事故のニュースもあり、安全面や管理面を考えると大量の備蓄は避けたくなります。しかし短期間であればカセットコンロは災害時にとても重宝です。そしてカセットボンベも多少であればストックしておきたい備蓄となります。カセットボンベは製造から約7年以内、カセットコンロは10年を目安に双方とも買い替えとなります。
一方で多くの被災地において被災者が木材を燃料として料理や暖をとったりする光景をニュース等で目にします。大人数での調理となるとかまどが必要ですが、少人数の場合や常に湯をキープしたいときなどに七輪は便利です。七輪は形状により木炭だけでなく木材も使えます。木炭はカセットボンベや石油と違い危険物ではないので場所さえ確保すればある程度備蓄が可能となり、長期用防災グッズとして適している側面があります。炭素なので何十年でも保管可能となり燃焼性能もほぼ変わりません。ただし臭気や湿気を吸うので密閉保管となります。
木炭のほか種類としてはオガ炭、マメ炭等があります。いずれもホームセンター等にて一般に販売されています。木炭の中でも日本産は上質で火持ちがよく、ナラ、カシ、クヌギなどの黒炭(切り炭)が一般的です。またBBQ用の屋外用輸入木材は安価ですが火持ちが悪いため薪の代用として備蓄するのがよいでしょう。次にオガ炭ですが、一般的には着火しにくい半面、火持ちがよく安価なので黒炭に足して使うのがおすすめです。着火しにくいだけに安全で大量備蓄にはおすすめの燃料です。木炭との併用がよいでしょう。最後にマメ炭は石炭などの粉を固めたもので、燃焼中に触ると粉々に崩れてしまい扱いにくいのが難点です。マッチで着火できないときは割り箸などを燃やすかバーナーがあれば着火します。
七輪の火はすぐに消せないので、戸建てなら庭先ですが集合住宅の場合は使用場所については事前に検討をしておく必要があります。余震の続く室内での使用は避けて空き地や路上や公園などでの使用も考えられます。最大の注意点として密閉空間での炭火の使用は厳禁です。室内の一酸化炭素中毒による死亡事故が多数あります。特に小さな部屋や車内では自殺行為となります。すぐに火を消すことのできない炭火は火災の危険性も高まります。七輪は屋外で火にあたって暖をとり手先を暖める程度の暖房と考える方がよいかと思います。
いずれにしても、カセットコンロと七輪は災害時の備蓄として、その燃料も備蓄として考えておいた方が良さそうです。

※全国賃貸住宅新聞より引用