本紙が行った、賃貸仲介の繁忙期同行についての独自調査「繁忙期速報2024」(以下、繁忙期速報)では、23年同期と比べて新規契約数が「変わらない」と回答した不動産会社が4割を超えた。
「増加」との回答が約35%だったのに対し、「減少」は約22%と13ポイントの差がついており、好調な企業のほうが多かった。

全国の不動産会社を対象に、1月〜2月中旬までの繁忙期の動向に関するアンケート取材を、ファクスとインターネットで実施。
376社から回答を得た。
調査期間は2月1日〜16日。
「前年繁忙期(23年1月〜2月中旬)と比較した成約件数の動向について」は、「変わらない」との回答が最多で42.6%だった。
次いで、「増加」が30.1%となった。
「大幅に増加」と「増加」を合わせた増加の回答割合は35.4%と、前回調査より4ポイント減った。
減少したとの回答は、「減少」の19.7%と「大幅に減少」の2.4%を合わせた22.1%、前回よりも2ポイント下がった。
増加が減少を13ポイント上回った。
年間2万1000件超の賃貸仲介を手がける不動産会社の12月、1月の仲介件数は前年同期比で、ほぼ横ばいだ。
同社の担当者は「23年の繁忙期は、コロナ禍からの回復により成約件数が多かった。その賑わいがそのまま良い状態を保っている。例年通りのコロナ禍以前に戻った」と話す。


増加の要因トップ「ネット集客強化」

成約件数が増加したと回答したのは133社。
増加の理由のトップは「インターネット集客の強化」で44件。
続いて「新型コロナウイルス禍の影響」が40件だった(複数回答)。
年間賃貸仲介件数1万4466件の不動産会社では、1〜2月の来店数・成約数は23年同月比で横ばいだったが、2月中旬までの反響数は昨年同月比で5%伸びをみせた。
賃貸営業部の担当者は「ポータルサイトへの物件掲載数を増やした。それに加え、繁忙期に向け、自社ホームページをリニューアルしたことが反響につながっているのではないか。自社ホームページからの反響は、23年2月比で10%増加している」と話す。
特に、この繁忙期で成約件数を伸ばしているのは外国人だ。
入国規制が緩和されて以降、特定技能実習生の流入が増え続けている。


他部署から応援契約が5割伸長

成約件数が減少したとの回答は83社。
理由の1位は「仲介担当スタッフの減少」が37社と、約44%を占めた。
次いで「外部環境の変化」が17件だった(複数回答)。
仲介担当スタッフの人数が成約件数に直結しており、人手不足が賃貸仲介事業に影を落としていると言えそうだ。
その一方で、他部署の人材を活用し、契約件数を伸ばした不動産会社もある。
1月の成約件数は昨年比で152.2%と大幅に増加した。
賃貸仲介部門とそれ以外の部署との連携により、特に土日の接客人員を増員。
営業スタッフ1人あたりの1日の接客件数を最大1.6倍にした。
担当者は「属性別では、法人の制約数が増加。1月の社宅代行会社からの反響は、23年同月比で125%に伸長した」と話す。

※グラフはいずれも全国賃貸住宅新聞調査を基に作成

※全国賃貸住宅新聞より引用