全国賃貸住宅新聞は、不動産会社を対象に2024年繁忙期(1〜3月期)の動向調査を実施。
成約件数が増加と回答した企業が40%を超え、堅調だったことがわかった。
法人仲介の伸長を成約好調の理由に挙げた不動産会社が最多だった。


法人仲介で明暗

24年繁忙期の賃貸仲介動向は、全体的に堅調だった。
法人の仲介の好不調が企業の明暗を分けたようだ。
全国賃貸住宅新聞は4月2〜19日にかけて、「24年繁忙期総括」のアンケート取材を実施し、全国の不動産会社367社から回答を得た。
23年繁忙期と比較した成約件数の動向について、最多の回答は「増加」の36.8%だった。
「大幅に増加(2割以上)」の4.4%と合わせると、増加の回答は41.2%と4割を超えた。
「変わらない」は32.4%。
「減少」の23.7%と「大幅に減少(2割以上)」の2.7%を合わせると26.4%。
増加の回答は、減少と14.8ポイントの開きがあった。
成約が増加した理由(複数回答)として、最も多かったのは「法人契約の増加」で57件。
続いて「インターネット集客の強化」が46件、「仕入れ物件の充実」が32件、「仲介担当スタッフの増加」が26件の順だった。
成約が減少したと回答した企業においては、その理由として「法人契約が減少」がトップの36件と、約26%を占めた。
次いで「仲介担当スタッフの減少」が26件、「学生契約の減少」が22件となった。
「紹介できる空室が少なかった」という回答も複数件あった。


一部ピーク早まる4月分散の声も

24年繁忙期のピークは「3月上旬」の回答が最多で133件、次いで「2月下旬」が90件、「2月中旬」が83件、前回3番手だった「3月中旬」を上回り、繁忙期のピークが一部前倒しになっている傾向が見えた。
「繁忙期のピークが早まっている」と、福岡市の不動産会社は話す。
同社の24年繁忙期のピークは1月上旬だった。
全体の平均と比較すると2ヶ月近く早い。
福岡市の賃貸市場が全体的に早まっているのだという。
特に、学生の引っ越しが早く、2〜3月には物件が少なくなり選択肢が減ってしまうと1月ごろに決める顧客が多い。
福岡市内の繁忙期の学生賃貸市場が早期化している要因の一つに、同市内の学校の形態として専門学校が多いことが関係しているのではないかと同社はみる。
専門学校の場合、早ければ高校3年の夏、ほとんどが12月までには合否が判明する。
合格発表後すぐに部屋を決めに来ることが多くなっているのだという。
法人や一般の部屋探しシーズンの変化も出てきている。
福岡市の別の不動産会社はインターネット集客を強化。
23年繁忙期に比べて成約件数が約1割増加した。
24年繁忙期は23年比で法人が微減している印象があるという。
賃貸部の担当者は「以前は個人・法人ともに引っ越しが2〜3月に集中していたが、今年は4月に入っても続いている。
企業側の移動のタイミングをずらして来ているのではないか」と推測する。


半導体工場で需要

宮城県内を商圏とする不動産会社は、24年繁忙期の仲介成約件数は約2200件と、23年より約100件増加した。
反響数は約4〜5%増の5040件、来店組数も80組増の2330組と好調だった。
同社の商圏で大きな変化が表れているという。
その一つが大手半導体工場の進出による法人需要の増加だ。
半導体工場を建設することを発表した後、賃貸需要を見込んだ企業が工業団地内の賃貸物件を先行して契約した。
結果として成約件数が伸びた。
法人のニーズが伸びることを見込み、それまで学生案件に対応していた人員を法人対応に振り向けたことが成約件数を伸ばした一因にもなった。

※全国賃貸住宅新聞より引用