上下階隣室の「音」が不満

40~50代が求めるのは気密・断熱性

iemo、houzz、Roomclip、Instagram・・・これらはスマートフォンを主軸にした比較的新しいサービスですが、今後も賃貸住宅探しに少なからず影響を与えて行くことになると思います。
たとえばInstagramの流行は自分で手を入れた部屋をInstagramに投稿する人が増えれば、部屋選びにかけるデザイン優先度は上がるでしょう。
そんな世の中の変化を念頭にいれながら、賃貸住宅に対するニーズとはどんなものか。
今回はリクルート住まいカンパニーが実施した「住み替え検討者調査(2016年、2015年)」をもとに、探ってみましょう。

満足度からみる「当たり前・差別化」ポイント

まず現在賃貸住宅に居住中の人が、今の住まいのどこに満足しているかを見てみましょう(図1)。
項目別でもっとも評価が高かったのは「間取り・プランが良いこと(39.6%)」。
ついで「収納スペースが充実していること(38.2%)」「耐震性が優れていること(33.9%)」「家事の動線がスムーズなこと(33.9%)」となりました。
満足度上位の項目はニーズが高く、そのニーズを満たしている物件も多い、つまり比較的当たり前になりつつある項目。
いっぽう中位から下位の項目は、ニーズが高いのに満たしている物件が少ない、つまり競合物件との差別化ポイントになりうる可能性がある項目と捉えてもよいでしょう。

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「退去リスク」が高くなる不満ポイントとは?

さらに、賃貸入居者が、今の住まいにどんな不満を持っているか、不満ポイントも見てみましょう。(図2)
これは高い項目ほど「退去リスク」が高いものです。
全体で高いのは「上下階や左右の部屋の音(45.0%)」「収納が少ない/狭い(41.6%)」「隣の家との壁が薄い/遮音が弱い(40.4%)」「冬寒く、夏が暑い(39.5%)」「結露やカビが発生する(36.2%)」と続きました。
上下階、左右の音の問題と、断熱性能について、不満を挙げる人が多いという傾向が見て取れます。
これらの対策は、多くが新築時や大規修繕時に必要です。
年代別で見ると40代・50代が気密性・断熱性を不満ポイントとして高く挙げる傾向にありました。
寒暖差はヒートショックにもつながるので不満の解消という観点のみならず、入居者の健康を守るという観点からも、対策を検討すべき項目と言えるでしょう。

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賃貸住宅探しでの重視ポイントは?

では賃貸住宅検討者が部屋探しでどんな点を重視しているか、ニーズを見ていきましょう(図3)。
重視ポイントの第1位は「音が隣の部屋に漏れないこと(57.5%)」、次いで「間取り・プランが良いこと(49.9%)」「音が階下の部屋に響かないこと(47.4%)」「収納スペースが充実していること(46.4%)」「外からの音が部屋で気にならないこと(44.3%)」と続いています。
不満ポイントを反映して、賃貸選びでは音の問題を意識する傾向にあることが分かります。
多少お金をかけても将来の空室リスクの低減を図ることをお勧めしたいです。

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賃貸カスタマイズ、どんなことをやりたい?

さて冒頭にお伝えしました賃貸住宅の内装デザインですが、近年のDIYブームの高まりもあって、「賃貸住宅も自分らしく」という考えが広まっています。
ただデザインの好みは人によって異なるものです。
そこで、事前に「カスタマイズできますよ」と提示して、手を加える前に入居者を決め、そして自分好みにカスタマイズしてもらう、という方法はいかがでしょう。
壁や床を複数のパターンから選べる物件へのニーズを見ても、カスタマイズできる物件を選びたいという回答が全体で52.2%と、過半数という結果が出ています。
賃貸人の退去後、次の募集前に原状回復を行うのが一般的だと思いますが、「原状回復がされた賃貸住宅を選ぶ」は、全体でわずか21.8%という結果でした。
どんな内容に興味を持たれているか見ると、自己負担ありでもやりたいことの3位に「壁に収納・飾り棚やフックを取り付ける」、6位に「収納内部仕様を変える」、7位に「部屋のサイズに合う、作り付け収納を付ける」など、物件に穴を開けたり何かを取り付けたりして、収納などの増設や変更をするものが挙がりました。
壁への棚やフックの取り付けについては、オーナーのみなさんとしては、施工不安もあるので手放しで歓迎というわけではないでしょう。
手は2つあります。
1つはどこにどんな棚やフックを取り付けるかを事前に入居者と確認し、退去時の扱いについても賃貸契約書でしっかりと取り交わすこと。
もう1つは逆に、入居者にほんの少しの金額負担で棚設置もできますよとこちらから施工も含めてカスタマイズ提案してしまうことです。
費用の回収も、たとえば2年間月500円の賃料アップでいいですよ、といった提案で、行う方法もあるのではないでしょうか?
また壁の色や素材の変更は、先ほど見た「カスタマイズできる物件」への希望が高いことを考えると、原状回復をする前に、好みの壁紙や仕上げを選べるようなサービスが有効と考えられます。
SUUMOでも内装のカスタマイズができることが分かりやすく表現できる画面を開発しました。
ぜひ今後活用いただければ幸いです。

≪自己負担ありでも実現したいカスタマイズ内容≫

実現したいこと 要望比率
照明を好みのものに変える 49.5%
バスルームのシャワーヘッドを交換する 44.6%
壁に収納・飾り棚やフック(コート掛け)を取り付ける 41.3%
トイレを洗浄便座にする 35.8%
窓をUVカット仕様・遮熱フィルムを貼る 35.2%
収納内部仕様を変える(棚板追加など) 32.5%
物干しざおを掛けるフックを取り付ける 32.5%
トイレに収納棚を取り付ける 31.2%
壁の色や素材を好きなものに変える 30.2%
賃貸検討調査(2015年リクルート住まいカンパニー)