全国賃貸住宅新聞は、賃貸仲介を行う不動産会社を対象に2025年繁忙期(1〜3月期)の動向に関するアンケートを実施した。成約が増加したという回答が約4割であった一方、減少したという回答が24年より増えて3割に迫る結果となった。
成約件数を伸ばす企業は、インターネット集客と人材確保の強化に取り組んでいる。

342社から回答得る大幅増は6.1%

全国賃貸住宅新聞は3月31日〜4月18日にかけて、「2025年繁忙期総括」のアンケート調査を実施し、全国の不動産会社342社から回答を得た。
24年の繁忙期と比べた成約件数についての質問では、「増加」が最多の32.7%となった。
「大幅に増加(2割以上)」の6.1%と合わせた38.8%が前年比で成約件数を伸ばしている結果となった。
一方で「減少」は26.3%。
「大幅に減少(2割以上)」の3.2%と合わせて29.5%が成約件数を減らしている。
これは24年の調査に比べて3.1ポイント高い数値だ。
増加の合計数と減少の合計数とで9.3ポイント開きがあり、昨年比で5.5ポイント縮小していることから、苦戦を強いられた企業が増えたといえる。
成約件数が増加した理由(複数回答)として最も多かったのは「インターネット集客の強化」で45万。
「法人契約の増加」が39件、「仕入れ物件の充実」が38件続く。
高齢者や外国人などに入居者ターゲットを拡大したという回答も12件あった。
埼玉県の会社では、ポータルサイトへの出稿の専任者を配置することで、25年繁忙期の成約件数を約1割伸ばした。
同社ではこれまでポータルサイトへの出稿から契約業務までの仲介業務を11人で行なっていた。
そのうち2人を、24年7月からポータルサイトへの出稿作業を行う専門部署に配置した。
24年12月〜25年3月の出稿件数は前年同期と比較して2割増加。
物件の写真点数も増加し、説明文のクオリティーも上がった。
ポータルサイトの絞り込み検索で表示されるための設定の入力漏れもなくなり、反響増加につながった。


人で不足が影響 採用強化で仲介増

成約件数を減らした理由(複数回答)では、「仲介担当スタッフの減少」が最多で34件となった。
続いて「学生契約の減少」が27件、「法人契約の減少」が26件。
そのほか、空室や退去が少なく案内できる物件が不足していたという回答も目立った。
仲介担当者を減らした企業が苦戦する一方で、人員を確保できた企業は成約件数を伸ばしている。
京都府の会社では、25年繁忙期の成約件数は24年同期と比較し5%ほど増加。
仲介営業スタッフの採用を強化し、昨年対比で10人ほど増加したことが奏功した。
継続的な取り組みを実施。
ポータルサイトからの反挙を伸ばすため、パノラマ写真など掲載コンテンツの充実や、エリアや入居者属性に合わせた出稿物件の選定に注力している。


※いずれも全国賃貸住宅新聞の調査を基に作成

※全国賃貸住宅新聞より引用