不動産公正取引協議会連合会(以下、公取協:東京都千代田区)が「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」および「表示規約施工規則」の改正を施行し、2ヶ月がたつ。
10年ぶりの大きな改正ということもあり、改めて改正内容を解説する。

エントランス起点
計り直しを促す

9月1日に施行された新しい表示規約は、2012年に行われた改正以降初の広告実務に関わる大きな改正となった。
賃貸仲介事業者にとって大きいのは、物件から駅など着点となる施設までの徒歩所要時間や道路距離の計測方法の変更だろう。
計測のスタート地点の明文化と主要ターミナル駅までの計測方法が変更された。
まず、計測のスタート地点に関して、改正前は駅やスーパーなどの各種施設まで、物件の敷地内で一番近い地点をスタート地点として計測することができた。
しかし、今回の改正でマンションやアパートについては建物の出入口(エントランス)をスタート地点とすることが明文化された。
12年以前に建てたマンションの徒歩所要時間は、敷地の一番近い地点から計測されていたと思われるため、再確認する必要がある。
道路や駅の出入口などが変わっている可能性もある。
これを機に測り直す必要がある。

通勤ラッシュ時に修正
都心8時半から9時

主要ターミナル駅までの所要時間の計測方法も修正された。
改正前は日中平常時の計測でよかったが、9月1日以降は朝の通勤ラッシュ時で計測することとなった。
乗り換えが必要な場合は、乗り換えに要する時間や交通機関の待ち時間も含めて表記する。
ラッシュ時の定義について、表示規約で定めてはいないが、例えば、JR山手線の新宿駅や池袋駅を着点とした場合には、8時半から9時ごろに到着する時間帯で計測していれば問題はないのではないかという意見もある。
地域によって通勤ラッシュの時間は違う為、鉄道会社にラッシュがどの時間帯なのかも併せて聞くことも必要となりそうだ。
計測には、通常の乗り換え検索アプリやサイトを利用して問題なく、利用したツールの記載は不要だ。
また、各計測方法のほか、歩く速度の設定によって乗り換え所要時間が異なる可能性もあるが、計測ツールをどう設定するかは、基本的に出稿事業者の自由だ。
注意すべき点は今回の改正はSNSを利用した集客にも適用される点だ。
ポータルサイトなどでは以前より悪質な広告は減ったが、SNSでは広告ルールの順守が意識されていないようである。
SNSもインターネット広告として規制しているので注意が必要となりそうだ。

※全国賃貸住宅新聞より引用