建築費高騰、響く
本紙は5月9〜31日に、全国の建設会社やデベロッパーに対し、賃貸住宅の建築・開発に関するアンケート取材を実施し156社から回答を得た。
完工数は22年4月〜23年3月の期間を集計対象とした。
「21年度と比べた、22年度比の完工数の増減」は、「増加」の24%と「大幅に増加(2割以上)」の11%と合わせた増加の回答が35%と最多だった。
次いで「変わらない」が27%だった。
「減少」の21%と「大幅に減少(2割以上)」の4%を加えた減少の回答は25%となり「変わらない」とほぼ並んだ。(グラフ1)
完工数増加の理由としては「営業の人員増・体制強化」の回答が最も多かった。
「新型コロナウイルスの影響が緩和され、工事が順調に進捗(しんちょく)」「物件の大型化」などの声も上がった。
減少した理由としては「建築費・資材高騰に伴う受注の減少」の回答が大半を占めた。
「投資家に対する融資の引き締め」「物件の大型化・RC造物件の増加に伴い工期が延びた」などの回答もあった。
土地活9割超、過半
賃貸住宅建築のうち、土地活用の建築割合は、「91〜100%」が54%と過半数を占めた。
次いで、「0〜30%」が11%、「61〜90%」が7%、「31〜60%」が4%だった。(グラフ2)
前回の調査と比較すると、「91〜100%」は13ポイント、「0〜30%」は3ポイント減少した。
土地活用案件の需要は根強いものの、「デベロッパーの仕入れ強化の恩恵があった」という建築会社の声もあった。
開発会社からの建築案件の受注で案件を確保する会社や、自社で土地を仕入れて開発し、投資家に販売する建築会社も出てきている。
国交省 放置空き家、固定資産税6倍 空家対策特措法が改正
空き家の活用拡大や管理の強化を目的とした「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家対策特措法)が7日、参議院本会議で可決し、成立した。
主な改正内容は、管理の不十分な空き家を「管理不全空家」と定め、行政主導の対象とした点だ。
指導・勧告を受けた空き家は、固定資産税の優遇措置を解除する。
改正空家対策特措法の目的は、「特定空家」の除却のさらなる促進だ。
特定空家とは、倒壊などの危険性が高く、周辺環境に悪影響を及ぼすおそれのある物件を指す。
今回の法改正では、特定空家の前段階の物件として、窓ガラスが割れているなどといった管理不全空家の利活用や管理を促すことで、空き家対策の強化を図る。
空き家の活用拡大のため、市区町村が、放置された空き家を管理不全空家として指導・勧告を行う。
管理不全空家に指定されると、税優遇が解除され、固定資産税が最大6倍となる。
2018年時点で、全国の空き家の総数は849万戸。
20年間で約1.5倍に増加している。
国土交通省は、今後さらなる増加が見込まれる空き家の対策強化が急務になると認識し、今回の法改正に至った。
■改正空家対策特措法のポイント
①「管理不全空家」
「特定空家」になる恐れにのある物件を「管理不全空家」に指定。
市区町村が指導・勧告を行う。
②固定資産税の優遇措置解除
「管理不全空家」の指定を受けた場合、税優遇が解除され、固定資産税は最大6倍となる。
解除の対象となる固定資産税の課税標準は、下記のとおり。
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は、1/6に減額
・一般住宅用地(200㎡を超える部分)は、1/3に減額