前回は発電機に触れましたが燃料が無ければもちろん動きません。燃料の備蓄は重要な災害対策となります。
政府の見解として、各自治体に「非常用発電機の購入と燃料の備蓄等による非常用電力確保をしなさい」とありますが、これは目標というよりは絶対的な条件かもしれません。人命救助の観点から重要な72時間は外部からの供給なしで非常用電源を稼働可能とする措置が望ましく、また停電の長期化に備え、1週間程度は災害対応に支障がでないよう準備することが望ましくなります。その際軽油や重油等の燃料の備蓄等は消防法建築基準法等により制限される場合もあるため、あらかじめ燃料販売事業者等との優先供給に関する協定の締結等も検討となります。つまり、72時間は外部からの供給なしで非常用電源を稼働可能とすることが重要になります。
消防庁では地方公共団体に対し、早急にこの取り組みを進め、2020年度までに完了させるよう次の通知を出しています。

  1. 非常用電源の整備を図ること
  2. 非常用電源については72時間稼働できるよう燃料等を備蓄しておくこと
  3. 非常用電源については浸水や地震に備えた対策を講じること

とあります。
奈良県を一例として挙げると、奈良県と奈良県石油商業組合とは災害時等における燃料供給等に関し、県内で災害が発生した場合または発生するおそれが生じた場合において、被災者および避難者に対する救援の円滑化を図るため、燃料等の優先供給を円滑に行うことを目的として協定を結んでいます。
一方で自治体などには頼らず「個人」や「集合住宅」としても取り組みをしておくことをお勧めします。固形燃料、カセットボンベ、灯油などです。例えばキャンプなどのアウトドアでの調理に使用できる固形燃料は災害時において有効に使用できます。最近の固形燃料タイプはある程度の回数の飯ごう炊飯が可能な火力と耐久力を持っていて、特に災害時に火の調達が難しいとき、長時間燃焼可能なタイプは重宝します。長時間燃焼により寒いときは暖もとれ、温かい飲み物や食べ物は体をとても楽にし、安らぎを与えてくれます。固形燃料は比較的安全で備蓄にも適していると思います。
燃料といえば、自動車のガソリンもそうです。最近でも台風15号に伴う千葉県の停電に休業するガソリンスタンドが多い中、営業しているガソリンスタンドには大行列ができました。私たちの日常生活に、自動車のガソリンや軽油、暖房用の灯油などの燃焼は欠かせません。停電になってもガソリンスタンドが営業できるように自家発電設備を持ち、災害時でも住民向けに燃料供給を続けられる給油所「住民拠点SS(サービスステーション)」の整備が全国で進められています。日ごろから近くの住民拠点SSの場所を知っておきましょう。
燃料備蓄は法律や危険性との整合もありますが最低限生き延びるための必要な備蓄です。十分な注意と管理による備蓄が必要となります。

※全国賃貸住宅新聞より引用