民泊に対し明確な反対意見を表明

決起大会に議員含め800名が参加

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連:東京都千代田区)は6月8日、京王プラザホテルで「全旅連全国大会」を開催し、大会中に「無認可宿泊施設撲滅総決起大会」を行いました。
「民泊を賃貸業にせず、旅館業法の範疇とすべし」などをスローガンとして同連合会青年部主導で腕を上げながら声高に訴えました。
会場にはホテルや旅行会社など事前登録をした関係者ら約800人が来場しました。
伊吹文明衆議院議員や松本文明衆議院議員なども参加しました。
観光産業振興議員連盟や生活衛生議員連盟を呼び、「民泊の営業日数は年間30日とすべし」など、民泊事業に対する反対意見を訴えました。
6月10日に行われた「民泊サービスのあり方に関する検討会」で構成員として参加した北原会長は「一人が気軽に全国各地で運営できる投資系の民泊を阻止すること」や「施設賠償保険加入を必須にすること」など、民泊に関する法律と旅館業法とのバランスをとることや「違法民泊の取り締まりを民間委託すること」などを訴えました。
新法に関しては与党議員意見を盛り込んで制度化する方針です。

≪スローガンに掲げられた主張一覧≫
・民泊の営業日数は年間30日とすべし
・民泊営業の家主は個人事業主としての登録を義務化すべし
・無認可宿泊施設の取り締まりを強化すべし
・無認可宿泊施設には厳しい罰則を
・民泊を賃貸業にせず、旅館業法の範疇とすべし
・家主不在の民泊管理業者は認可制とすべし
・仲介業者には、施設提供家主(ホスト)の情報開示義務を課すべし
・民泊も旅館業と同じ建築基準法の用途規制を遵守すべし

アパート急増バブル懸念「団塊」の節税×地銀が融資競う

不動産市場に「アパートバブル」の懸念が出ています。
団塊世代による相続対策を背景に、新設住宅着工はアパートなど貸家が2桁増と急増しています。
マイナス金利の導入も背中を押し、銀行は資産家に向けたアパートローンに力を入れつつあります。
ただ地方は人口減少の加速が避けられず、将来危うい空室リスクもはらみます(馬場燃、浜美佐)

「なにか土地利用でお悩みはありませんか。」地銀大手の横浜銀行が東日本銀行との経営統合を機に、5月半ばに新設した立川支店。
6人の営業員が1ヶ月で200の個人宅を回り、4件のアパートローンを獲得。

貸家着工15%増

アパートといっても昔ながらの木造ではありません。
鉄筋コンクリートのアパート建設などを勧め、「沿線に大学生も多く、手応えを感じている」(平間武志支店長)。
対象は使わない農地などを抱える60歳超の資産家です。

横浜銀は住宅貸し付けのうち、アパートローンの伸びが鮮明です。
2016年3月期は通常の住宅ローンが前期比1%減った一方、アパートローンは3%増、アパートは1軒で平均1億円弱の融資を見込め、貸出金利も1%弱と0.6%前後の住宅ローンよりも高い。
アパートを含む資産家向け融資は18年度までの3年間で約4割増の2兆6,500億円を目指しています。
首都圏と同様に人口増が続く沖縄県でもアパートは好調です。
沖縄銀行は16年3月末までの1年間で不動産向け融資を377億円増やしましたが、このうちアパートローンが200億円を占めました。
銀行の動きを裏付けるように住宅着工も増加。
5月の伸び率は持ち家が前年比4.3%にとどまるに対し、アパートなど貸家が15%となりました。
アパートが伸びた理由は2つあります。
1つは団塊世代の相続対策。
15年1月施行の税制改正を受け、相続税は非課税枠だった基礎控除の引き下げや税率構造が見直されました。
相続税制では現金よりも不動産の方が評価額が低くなり、賃貸に回すとさらに下がります。
即効性のある節税策として、資産家がアパートに飛びついた面があります。
2つめは日銀のマイナス金利政策。
利ざやが縮んだ銀行がアパートローンに活路を見いだそうとしています。
拠点を置く自治体で人口減少が進む西日本のある地銀も「市内中心部で閉鎖した店舗や老朽化した建物の跡地をいかしたアパート建設を提案している」と話します。
節税したい個人と融資を伸ばしたい銀行側の思惑の一致。
問題は人口減少社会の日本で、アパート着工が適正水準かということです。
不動産動向に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田隼平研究員は「すでに過熱気味のサインが出ている」と指摘します。

201607-4

いずれ調整局面 人口減、地方に空室リスク

同社は人口動態や建築された住宅の数をもとに、長期にわたる適正な需要値を試算。
足元の動きは、バブル経済期や08年のリーマン・ショック前と似通い、供給過多の傾向がみられるようです。
過去2回ともその後にやって来たのは急速な需要減。
藤田氏は「今回もいずれ調整局面に入るリスクがある」とみています。
不気味に響くのが空き家の足取りです。
13年度時点で850万戸に達し、空室率は14%。
このうち半分を賃貸が占めています。
日本不動産研究所の吉野薫氏は「地方では長期的な採算性が疑問の案件も増えている」と懸念しています。
アパート融資をこぞって増やす地銀を金融庁も警戒しています。
地銀全体の預金と貸出金の差は約100兆円。
行き場のないマネーが過度に不動産に集まるリスクがあります。
日銀からも「金融システム安定の観点から注視が必要」との声が聞こえ始めました。
人口減とマイナス金利政策の下で、日本経済に新たな「ゆがみ」が生じる恐れが否めません。