設置基準外でも一家に最低1本用意「消火器」

1.いざというときに非常に役立つ消火器について理解を深めておく

初期の出火や放火に対して発見者が一般人であってもいち早く消火活動が可能なのが消火器となります。一瞬にして大火となることは本当にまれであり、だからこそ小さいうちの初期消火が重要とされています。しかしながら身近にあっても、実際に消火活動に使用したことは少ないのではないでしょうか。いざというときに非常に役立つ消火器について理解を深めておくのは重要なことです。

2.設置基準は建築物の種類によって異なります

初めに消火器の設置基準についてです。建築物の種類によって異なります。建築述べ面積に関係なく設置義務が生じる主なものに、映画館や劇場、カフェ、カラオケボックス、病院、老人ホーム、地下街などがあります。また述べ面積150㎡以上の建物に設置義務となる主なものに公会堂、集会場、待合、料理店、飲食店、百貨店、マーケット、ホテル、宿泊所、寄宿舎、下宿、そして共同住宅があります。また述べ面積300㎡以上の建物に設置義務となるのが、学校、図書館、美術館、博物館、神社、寺院、駅、空港、港などです。アパートはここでいう「共同住宅」にあたります。述べ床面積が150㎡とありますが、地階や無窓階の場合3階建以上でも設置となります。設置基準や義務に関係なく、一家族、一世帯に最低でも一つの消火器設置を心掛けたいものです。

3.すぐに持ち出せる場所の選定など設置上の注意点

設置上の注意点としては、必要となった場合にすぐに持ち出せる場所を選定しますが、通行や避難の支障をきたしてはなりません。また、消火器は各防火対象物・部分から歩行距離20m以下(大型消火器は30m以下)になるうようにし、各階ごとに設置します。床面からは高さ1.5m以下に置き「消火器」の標識を付けます。なるべく水平面に置き地震や振動などで転倒、落下しないようにします。高温・多湿の場所は避けたいものです。厨房室に置く場合は床面ではなく壁掛けや設置台、格納庫への設置となります。設置後は6ヶ月に1回は外形点検をしましょう。防災訓練がその一つのきっかけです。

4.消火器の種類は、火事の種類や設置場所や用途によって違います

消火器の種類ですが、火事の種類や設置場所や用途によって違います。一般的には蓄圧式のスチール製バーストレス消火器や加圧式消火器、家庭用消火器、化学泡消火器、二酸化炭素消火器などがあります。
次に使用期限です。一般社団法人日本消火器工業会では、現在の消火器の使用期限は約10年としています。メーカーでは、耐用年数と表示することもありますが、その期間は8〜10年と、日本消火器工業会とほぼ重なる年数を使用期限の目安としています。使用期限8年という数字は、PL法ができた当時にメーカーと日本消火器工業会が設定した耐用年数です。
消防法では、業務用消火器の点検業務はありますが、使用期限に関する規定は無く、法定点検の結果、異常が認められなければ、実際に使用は可能です。しかし、使用期限が近づいたら防災訓練などで使用し、いざというときのために定期的な交換を心がけましょう。