不動産取引における完全オンライン契約がついに実現する。
12日に国会で「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」(以下、デジタル改革関連法)が成立、その中には宅地建物取引業法の改正も含まれる。
重説・契約の電子交付が可能となり、賃貸ビジネスにおいても契約業務のデジタル化が急激に進む可能性がある一方、社会実験の件数が伸び悩み、電子契約書の交付要件が定めにくい状況だ。

デジタル関連法案が12日に参議院で可決され、成立した。
同法案には、宅建業法第35条、37条における書面規定の改正が含まれており、施行後は不動産の賃貸や売買仲介を行う際、相手方の同意を得られれば、重説と契約書などの電子書面での交付が法律上は可能になる。
同法の改正は、5月19日に公布され、公布日から1年以内に施行される予定だ。
具体的な施行日と、重説などの電子書面での交付方法の要件については、現在行っている社会実験の状況を踏まえて決定する。
ただし、この社会実験には大きな課題がある。
賃貸仲介に関しては、2019年10〜12月にかけて1回目、20年9月〜21年3月にかけて2回目の社会実験が行われ、それぞれ113社、128社が参加した。
しかし、重説などの電子交付の実施件数が不十分であったため、21年3月10日からは、3回目の社会実験が178社の参加で行われているというのが実情だ。
実験に参加しているものの実施していない会社にヒアリングしたところ「現状では、紙と電子と両方での交付が必須で、二度手間となり、業務負担が大きいため実施が難しい」という声が多かった。
紙での交付を不要にするための社会実験だが、実験が煩雑で実施件数が伸びず、その結果、電子交付の要件を規定するための情報が増えないというジレンマに陥っている。
社会実験の実施要件を改めて見直す必要がありそうだ。

22年の5月中旬には、重説などの電子書面での交付が全面解禁になることは確定事項。
重説・契約書のオンライン化とそれに伴った、家賃保証会社や損害保険会社と仲介会社、管理会社との間での付帯サービスに関するやりとりについてもペーパーレス化が進むとみられる。
賃貸仲介のオンライン化の実現により、今後は不動産業界のDXが加速しそうだ。
※全国賃貸受託新聞より引用