【調査】不動産市況は年末に向けて回復基調

谷澤総合鑑定所傘下のティーマックスが作成した「不動産天気予報」によれば、不動産市況は2021年後半に向けて回復基調となる見通しだ。
2020年12月末時点に「晴れ時々くもり」だった市況は、2021年上半期(1月〜6月)に「くもり」と一旦悪化するものの、同年下半期(7月〜12月)には「晴れ時々くもり」と回復する。
同予報は、不動産市況の定性的な見通しを天気図に見立てて表現したもの。
今回は予測前の2020年12月末時点の状況、および2021年上半期、同年下半期の天気予報を示した。
新型コロナウイルスの感染者が急増して2021年1月に2回目の緊急事態宣言が発令されたことなどを受け、同年上半期の不動産市況は悪化する予報となっている。
なお、同年4月に東京都などで発出された3回目の緊急事態宣言の影響については、本予報では考慮されていない。
アセットタイプ別で見ると、賃貸住宅と物流施設はいずれも2020年12月末、2021年上半期、同年下半期の全期間を通じて「晴れ時々くもり」を維持する。
賃貸住宅は、オフィスや商業施設の先行き不透明感が高まるなか、相対的に安定した収益を確保できるアセットとして、外資系を中心に投資家の人気が高まっている。
巣ごもり消費によるネット通販拡大などの恩恵を享受する物流施設も好調だ。

オフィスは2020年12月末が「晴れ時々くもり」から、2021年は上・下半期とも「くもり」と悪化する。
感染拡大に端を発する在宅勤務の広がりなどで、需給が緩和傾向なのが影響した。
商業施設は感染拡大の影響を特に大きく受け、厳しい状況が続く。
2020年12月末は「くもり」で、2021年上半期は「くもり時々雨」。
同年下半期に回復するも「くもり」にとどまっている。

【売買】山口の温泉旅館を取得、星野リゾート・リート

星野リゾート・リート投資法人は6月1日、山口県長門市の温泉旅館、堺 長門を取得する。
価格は27億5000万円。
売り主は長門ホテルマネジメント(本社:長野県軽井沢町)だ。
堺 長門はJR美祢線の長門湯本駅から徒歩15分、長門湯本温泉街にある。
地上4階建て、延べ床面積4767㎡、客室数40の規模。
2019年に竣工し、2020年3月に開業した。
長門ホテルマネジメントが運営を手がけている。
鑑定評価上のNOIは1億6640万円で、取得価格に対する利回りは6.1%になる。
堺 長門は、星野リゾートと長門市、地元事業者による官民連携型温泉街プロジェクトの一環で新築された温泉旅館。
新型コロナウイルス感染症の影響により、開業して間もない2020年4月〜5月の累計の客室稼働率は51.5%と低調だった。
しかし、2020年6月〜12月は、マイクロツーリズムの需要獲得などにより、客室稼働率は91.9%と堅調に推移した。
2021年は、地域限定で緊急事態宣言が再発令された1月〜2月の客室稼働率が68.0%とやや落ち込んだものの、3月〜4月の客室稼働率は84.3%と回復をみせたことから、コロナ禍のなかでも長期的かつ安定定期なキャッシュフローの確保が可能な資産であると判断し、投資法人は取得を決めた。
※日経不動産マーケット情報より引用