国際連合が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の17テーマについて、大手企業を中心に取り組みが進むが、不動産業界においてはSDGsへの取り組みはまだ途上のようだ。
本紙が9月から10月にかけて実施したアンケート調査では、SDGsに取り組んでいないとの回答が6割を占めた。
一方、取り組みを行う不動産会社からは、地域との関わりが増えた、新卒の採用につながったなどの効果を実感する声も上がっている。
同調査から、不動産業界においてSDGsへの取り組みはまだ進んでいない実態が浮かび上がってきた。
9月14日〜10月1日にかけてインターネット上で調査を行い、不動産会社113社から回答を得た。
「現在、SDGsに取り組んでいますか」の質問に対しては、「いいえ」が62%と過半数を超えた。
「SDGsに取り組んでいない理由」としては、最多の回答は「特に理由はない」が36%、「どう取り組めばいいかわからない」が34%、「これから取り組もうとしている」が21%となった。
SDGsに取り組んでいる会社は43社。
取り組んでいるテーマで最も回答が多かったのは「住み続けられるまちづくりを」で35社。
「はい」と回答した企業の81%を占め、不動産業において持続するまちづくりに対し、積極的に取り組んでいることがわかった。
具体的な取り組みとしては、空き家再生、商店街の活性化、水害時の被災者への住居の提供などの回答が上がった。
次いで多かったのは「働きがいも経済成長も」で26社。
個別の取り組みとしては、女性やシニアの積極採用、有給休暇取得の推進、男性の育児参加支援の休暇制度の実施などの回答があった。
3番目は「つくる責任つかう責任」で24社となった。
ペーパーレスへの取り組みとして電子契約の活用やファクスのデータでの確認、照明のLED化、テナントと協力しての廃棄物削減などとなった。
効果として「取り組みを紹介するランディングページを見て興味を持った学生から採用の問い合わせがあった」「中学校の訪問活動を行なった後に『不動産業界で働きたい』などの手紙をもらい、業界のイメージ改善に貢献できた気がする」「改めて社員と共有することで会社の活動への理解が深まった」などがあり、やりがいにもつながっているようだ。
SDGsには国による認定制度がなく、あくまで企業ごとの自主的な取り組みとなるが、会社のブランディングや地域との関わりづくりなどの不動産会社側の期待に通じる効果も上がっている。