権利を証明する唯一の手段

不動産登記は、土地や建物の権利を証明する唯一の手段です。相続した不動産を売却するためには、相続登記を済ませておく必要があります。
しかしながら、市のこれまでの調査では、放置空き家の大半は、相続登記がされていません。そのような場合は、戸籍などで相続人を調査しますが、中には100年以上登記されていないものや登記簿自体がないこともあり、調査だけで数ヶ月かかることも珍しくありません。

難解な相続ルール

民法は、明治時代に作られた古い法律で、何度も改正されているため、時代によって相続のルールが違います。
また、数代にわたって相続登記をしていないと、戸籍などの書類が100通を超えることもあり、よほど法令に詳しくないと相続人を特定することは不可能と言っても過言ではありません。

知らない人の相続人になることも

下の家系図をご覧ください。登記名義人は平成9年に亡くなり、この時点で後妻と前妻の長女に半分ずつ法定相続分がありました。しかし、相続登記をせず、平成22年には後妻も亡くなっていました。
後妻との間には子どもがいなかったため、法定相続人は、後妻の兄弟やその子どもまで広がってしまいました。
後妻の甥や姪は、まさか自分が相続人になっているとは思わないでしょう。このため相続人の確定でつまずいてしまい、みんなが「関わりたくない」という気持ちになってしまいます。

相続放棄には期限があることに注意

相続が発生したら、不動産や現金、預貯金、有価証券などの相続財産の目録を作ります。この相続財産には借金や税金の滞納などの負債も含まれますので、相続しない方がよい場合もあります。
そのようなときは、家庭裁判所で手続きをすることで、相続放棄が認められることがあります。ただし、この相続放棄は、自分が相続人であると知った日から3ヶ月以内に手続きする必要があります。

これが終われば大丈夫 遺産分割協議

相続登記のためには遺産分割協議書の作成が必要です。上図のように他人同士の場合や相続人に所在不明な人がいるととても困難です。
遺産分割協議書は、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。無断で作ると犯罪行為になってしまいます。なお、遺産分割協議書には有効期限はありませんが、生前に作成した遺産分割協議書は無効なので注意が必要です。


「広報ふくつ」より引用