バブル期以来商業地が好調 全用途0.1%

国土交通省は18日、7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。
商業地や住宅地などを合わせた全用途の全国平均は前年比プラス0.1%で、バブル期の1991年以来27年ぶりに上昇した。
福岡など地方主要4市の上昇率が平均5.8%と全体を押し上げ、特に福岡市は商業地が11.1%など伸びが目立った。
九州7県は商業地の平均がプラス0.6%と26年ぶりに上昇。
熊本県は熊本地震の復興需要効果で、全用途が同0.3%と23年ぶりに上昇した。

福岡市11% 九州7県0.6%

全用途の全国平均は、過去最高の上昇率が90年の13.7%で、91年の3.1%を最後にマイナスが続いていた。
今回は、商業地の上昇率が1.1%と2年連続の上昇で、伸び率も前年の0.5%から拡大。
住宅地はマイナス0.3%と27年連続で下落したが、下落率は9年連続で縮小した。
国交省は商業地が上昇した要因として、外国人観光客の増加や再開発事業の進展に伴う店舗、ホテルの需要の拡大、景気回復によるオフィスビルの空き率低下を挙げる。
住宅地も「低金利と雇用、所得の改善で需要は堅調」と分析している。
福岡、札幌、仙台、広島の地方主要4市平均上昇率は商業地、住宅地とも東京、大阪、名古屋の三大都市圏を上回り、商業地が9.2%、住宅地が3.9%。4市を除く地方圏は商業地がマイナス0.6%、住宅地が同0.9%と下落し、都市部との二極化傾向が続いている。
下落率は商業地、住宅地とも7年連続で縮まった。
都道府県の上昇率トップは、商業地が外国人でにぎわう京都の7.5%。住宅地は沖縄の4.0%で、好調な県内景気が需要を支えた。
一方、秋田は商業地がマイナス2.6%、住宅地が同2.4%で、下落率はいずれも最大だった。
九州7県の住宅地は平均マイナス0.2%だったが、下落率は8年連続で縮小。
昨年の九州豪雨で被災した福岡県朝倉市や東峰村では、下落率が拡大した地点もあった。
最高価格地点は13年連続で東京都中央区銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」。
1平方メートル当たり4,190万円だった。

基準地価
土地取引の指標として、都道府県が毎年7月1日時点で調べる基準地の価格。
不動産鑑定士が1平方メートル当たりの価格を算定する。
2018年の基準地点数は2万1578あり、9割以上を住宅地と商業地が占める。
ほかに宅地見込み地と工業地、林地があるが、林地は平均価格や変動率などの集計に含まれない。

2018年基準地価圏域別変動率

住宅地 商業地
全国平均 ▲0.3(▲0.6) 1.1(0.5)
三大都市圏 0.7(0.4) 4.2(3.5)
東京圏 1.0(0.6) 4.0(3.3)
大阪圏 0.1(0.0) 5.4(4.5)
名古屋圏 0.8(0.6) 3.3(2.6)
地方圏 ▲0.8(▲1.0) ▲0.1(▲0.6)
地方主要4市 3.9(2.8) 9.2(7.9)
その他 ▲0.9(▲1.1) ▲0.6(▲1.1)
九州 ▲0.2(▲0.6) 0.6(0.1)

※前年比%。▲はマイナス。
カッコ内は17年。主要4市は福岡、札幌、仙台、広島市