DINKS世帯に高まる書斎の人気
寝室は最小限にしリビングの広さを確保

間取りの見直し

「間取り」が原因で空室が発生するケースはかなり多く、新築企画でも空室対策におけるリニューアルプロジェクトでも、重点項目のトップは常に「間取り」です。
この「間取り」には、単に2DKとか3DKというタイプの違いだけではなく、「部屋数」「専有面積」「使い勝手」「各部屋の大きさのバランス」「収納力」など、さまざまな要素が入っています。
かつて主流だった間取りは、2DKでした。
もともとは50年前に日本住宅公団が始めた規格で、長らく日本の賃貸市場で先導役として走ってきましたが、そろそろ役目を終えようとしています。
いまや陳腐化した間取りでは、入居者は選択肢にも入れてくれないでしょう。
かつて主流だった2DKはその役目を終え、1LDKにリニューアルされています。
38~43㎡程度の専有面積であれば、「マスターベッドルーム+LDK」という構成になります。
2DKのダイニングキッチンは6畳くらいしかなく、それでは満足に食事もできませんし、ダイニングテーブルが置いてあっても、単なる配膳テーブルにすぎなかったりします。
また、ふた部屋目のベッドルームが必要かといえば、それを作るなら部屋はいらないから、リビングをもっと大きくしてほしいというニーズが勝っています。
いま求められているのは、大型液晶テレビ+AV機器、ソファ、PCコーナーなどが置ける大きなリビングです。
ベッドルームは文字通りベッドだけ置ければよく、最低限ダブルベッドが置ける4畳半程度にして、その分リビングを大きくするという手もあります。
一般的な2DKは、「部屋6畳+部屋6畳+DK6畳+収納1.5畳」で、バス・トイレ・廊下部分、を除いた有効な生活面積(=部屋有効面積)は合計19.5畳です。
たとえばそれを「4.5畳+LDK12畳+収納3畳=19.5畳」にするのです。
これなら、カップルでも単身者でも対応できる間取りとなります。
他にも2Kや3DKなど、陳腐化した間取りは世の中にたくさんあります。
2Kタイプはスタジオ(広めの1K)に、3DKは2LDKに変更が考えられます。
入居者が決まらない物件のなかには、「6畳+4.5畳+2畳のキッチンの2Kタイプ」というような年代物の間取りもまだまだたくさんあります。
3DKタイプというのは、その昔、部屋数が多いことが良いことだ、という「部屋数信仰」があったころの間取りです。
現在は3部屋欲しいという入居者はほとんどいません。
2LDKも、よくある「6畳+6畳+LDK10畳=22畳」というものよりも、「6畳+DEN3畳+LDK13畳=22畳」としたほうが人気が出るでしょう。
それは、2LDKタイプを欲する賃貸需要層がカップル、つまり新婚・DINKS(Double Income No Kids/共働き、子供なし)・同棲等の「2人入居」が中心で、子どもがいても乳児や就学前であることが多いからです。
2部屋目が大きい必要はありません。
DEN(書斎・小さい私室)で十分ですし、最近は自宅にパソコンが無い家はないでしょうから、DENのニーズも高まっています。
2部屋目を小さくした分、LDKが大きくなったほうが入居者にとってはありがたいでしょう。
また、乳幼児がいるカップルを意識するのであれば、夫婦の寝室にベビーベッドが置けるスペースを意識したいところです。
そうなると6畳では狭く、7畳~7.5畳は必要になります。
つまり、「7畳+DEN3畳+LDK12畳=22畳」の間取りが良いということになります。

DENという発想

3畳や4畳程度のDENがあると、なぜかワクワクします。
個人的なことをいうと、子供の頃、「基地遊び」というのをよくやったものですが、DENを見ると、そのときのワクワク感と同じような感覚がよみがえります。
ベッドルームとは違う何か「自分の城」的な感触もあるのでしょうか。
今は大抵の人がPCを持っていますし、家で仕事をする場合や、ちょっとした書き物をする場合にも「書斎」があると便利です。

4畳半のベッドルーム

「図の案件は、35㎡の「和室6畳+洋間6畳+キッチン4.5畳」の2Kタイプのリニューアルです。
エリア的に、2ベッドルームのタイプより、1LDKが好ましいと思われたため、ベッドルームはあくまでベッドを置けるだけのスペースの4.5畳と狭くしました。
その分リビングルームに余裕が生まれ、またキッチンスペースとの一体感を出したことでリビングをより広くすることができました。
ベッドルームとリビングルームを分ける引き戸をポリカーボネート製にすることで、スタイリッシュなテイストを作ることができます。
また、引き戸を開け放したときには、部屋全体が一体となり、大きなスタジオタイプにも変身します。

201610-1