震災発生から6ヶ月後に認定される可能性有

そもそも、災害時における「関連死」という概念が世間一般に認知され始めたのは阪神・淡路大震災からです。
最近やっと直接死より関連死が重要視されるようになりました。それまでも、医療関係者の間では関連疾患・疾病として認識されていたようです。震災時に国として当時の厚生省が「震災と相当な因果関係があると災害弔慰金判定委員会などにおいて認定された死者」との認識を示し、初めて公的に認められました。災害による直接の被害ではなく、避難途中や避難後に死亡した場合、災害との因果関係が認められ、行政上は「災害弔慰金の追加申請を認定」という意味合いの「認定死」と呼ばれたこともありますが、現在では警察による検視を受けた「直接死」と統計上区別するため、「関連死」という呼び方が定着しました。
その後新潟県中越地震で、長岡市が神戸市の作成した内規を参考に、「地震から1週間以内の死亡は関連死で、1ヶ月以内あんらその可能性が高い。それ以降の場合、可能性は低く、6ヶ月以降であれば関連死ではない」との認識を示しました。また、厚生労働省もこれを「長岡基準」として追認し、東日本大震災時にはほかの自治体に参考例として紹介しました。ただし、復興庁が行なった東日本大震災の関連死の調査では、震災発生後1ヶ月以内が1156人、1ヶ月以上1年以内が1480人、1年以上でも280人と、6ヶ月を過ぎても関連死と認められるケースがあります。これは関連死として認められた事案が約半数を占める福島第一原発事故の被災者が多く、長岡基準を重視しなかった結果だとされています。
直接死も含め、災害弔慰金の支給は法律に基づく条例によって行われ、申請の後に審査が必要な場合は各市町村が設置する機関が行います。行政の担当者に医師や弁護士などの専門家が参加した委員会が立ち上げられ、死亡診断書・死体検案書の調査や家族・周辺住民などへの聞き取りを行い、持病の有無や治療ができる環境にあったか、被災者に何らかの落ち度は無かったかなどを勘案して因果関係について判断をします。
また、死因としては心臓病や脳血管障害、肺炎などの呼吸不全も多く、弔慰金と名付けられて吐いても、労災保険金と違って実際は被災者救済を目的としているため、認定の審査やその結果についての課題も多くあります。
実際の具体的認定例ですが、処方薬が服用できなかたことによる持病の悪化、ストレスによる身体の異常、不衛生な環境による体調の悪化、栄養不足や食欲不振による衰弱死、車中泊によるエコノミークラス症候群、孤独感から過度の飲酒による肝硬変、復旧作業中の過労死、疲労が原因の事故死、など多くの例が挙げられます。