宿泊日数短縮で民泊参入後押し

旅館業法の一部が改正されます。民泊参入へのハードルを引き下げることで、増加する外国人旅行客の受け皿となる物件を増やすのが狙いです。詳しい内容については今月中の検討会で話し合われる予定です。改正のポイントなどについて関係者に取材しました。

厚生労働省は、4月1日から、旅館業法を一部改正する方向で調整に入りました。
緩和対象になることが確実視されているのは広さ基準です。
現行では、客室の床面積は33m²以上としていますが、改正後は利用客10人未満の場合、一人あたり3.3m²以上になります。
各自治体ごとに条例で設置を推奨しているフロントは、不要とする内容を盛り込んでいます。
宿泊者の安全のため、建築基準法と消防法の規制は緩和しない方針です。
現在、民泊を合法で運営するには、旅館業法の許可を取得するか、条例の施工された国家戦略特区(特区民泊)で運営施設の登録認定を受ける必要があります。
しかし、旅館業法下では建築基準法や消防法の厳しい基準をクリアしなければならない上、各自治体が用途地域を狭く限定している場合もあり、空き家を活用して民泊の許認可を得るのは容易ではありません。
また、特区民泊の宿泊日数6泊7日以上という規定も民泊参入の大きな障壁になっています。
法改正に合わせて条例変更を促し、国家戦略特区以外でも民泊を増やしたい考えです。
一方で、今年の9月をめどに事業者の登録制度についても調整を進めています。
来年1月からは運営資格を持つ事業者が、許認可のある建物でのみ民泊運営できるようになる予定です。
無資格の民泊運営事業者は規制対象になる恐れがあります。
(公社)全国賃貸住宅経営者協会(東京都中央区)稲本昭二事務局長は改正に対し「おもてなしの日本」を世界にアピールするために、安心して利用してもらえるルールづくりを広めてほしい」と期待をあらわにしました。
一方で否定的な意見もあります。
全国で60戸の民泊を運営するbnbstation(ビーエヌビーステーション・東京都渋谷区)飯尾恭平社長は「ハードルになる旅館業における建築基準法と消防法に変更がないため、これまでとあまり変わらないのではないか」と話しました。
合法民泊について調査を進める行政書士法人シグマ(東京都中央区)阪本浩毅代表も「どのタイプの建物で推進したいのか見えてこない」と苦言を呈しました。
合法での民泊運営を掲げるとまれる(東京都千代田区)三口聡之介社長は「安全・安心な民泊を広げるためにも、規制緩和の方向性は歓迎している。ただし、建築基準表・消防法・条例等の関連法令の緩和もあわせて行わなければ、民泊は拡大しない」と主張しました。
4月改正を機に、運営事業者と建物については、統制の仕組みが整いそうです。
しかし、民泊市場をさらに健全に拡大させるためには、違法物件を斡旋する仲介業者についても、取りまとめるための仕組みが必要です。
今後も、政府・行政が積極的に、民泊市場の整備に取り組むことを期待したいです。

201604-1

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1月29日、日銀が導入を決定したマイナス金利。
今回はマイナス金利が賃貸市場にもたらす影響について論じていきます。
マイナス金利の不動産業界への影響でまず考えられるのは住宅ローン金利の引き下げ効果です。
一般的に住宅ローンが下がれば購入するメリットが拡大します。
持ち家率の高まりが数値としてすぐ顕在化しなくとも、超低金利により「賃貸より買うほうが得」という購入マインドが高まるのは間違いありません。
それだけでも賃貸需要には逆風となります。
マイナス影響はほかにもあります。
マイナス金利により金融機関からの融資が受けやすくなることで、新たな賃貸住宅の建築に拍車がかかる可能性があります。
しかし入居者の総数は増えるどころか購入マインドの高まりにより減少の方向に進むので、全体的に空室率が拡大する懸念があります。
いずれにせよ今以上の退去抑制が必要です。
入居者満足度を高める方策に注力すべきでしょう。
一方でマイナス金利の影響により不動産投資に注目が集まることが考えられます。
金利が下がることによる新築物件の利回り向上が期待できます。
また既存の借り入れも残債・既存価値(一部家賃上昇地域などもあります)など物件によって掛け替えも検討できます。
これを機に投資物件のファイナンス見直しをしてみてもよいかもしれません。