【売買・開発】福岡で学生マンション開発、DM年開発など

不動産開発事業などを手がけるDM都市開発(本社:福岡市)は2021年3月から6月にかけて、福岡市東区香椎(かしい)駅前1丁目で2ヶ所の土地を取得した。
いずれも学生マンションを開発する。
完成後は投資家に売却する方針だ。
取得した土地はどちらもJR香椎駅から徒歩3分、JRの線路沿いに広がる住宅エリアの一角にある。
西日本鉄道西鉄香椎駅からは徒歩4分〜5分の距離で、九州産業大学や福岡女子大学のキャンパスに近い。
このうち3月に取得した土地は468㎡で、売り主は不動産ファクトリー(本社:福岡市)。
地上5階建、延べ床面積1162㎡、1Kタイプ39戸のマンションを開発する。
6月に取得した土地は726㎡で、福岡市の公募により1億6704万円で購入した。
地上5階建て、延べ床面積1488㎡、1Kタイプ58戸のマンションを開発する。
これらの開発の企画やコンサルティングは、不動産ファクトリーが担当している。
同社は2013年設立の不動産会社で、エムケーキャピタルマネジメント(現イデラキャピタルマネジメント)の執行役員だった森田和彦氏が代表を努める。
不動産ファクトリーは、福岡市城南区でも学生マンション開発の企画・コンサルティングを手がけている。
開発地は地下鉄七隈駅から徒歩2分の場所にあり、福岡大学のキャンパスに近い。
事業主は九州ディベロップメント(本社:福岡市)で、2021年4月に個人から土地987㎡を取得した。
地上5階建て、延べ床面積956㎡、1Kタイプ40戸のマンションを開発する。
2022年2月の完成後は学生情報センター(本社:京都市)に一棟貸ししたうえで、投資家に売却する予定だ。

【売買】免震偽装のタワマン、TOYO TIREが37億円超で引き取る

TOYO TIREが2021年9月、福岡市中央区にある地上30階建ての賃貸マンション、カスタリア大濠ベイタワーを取得していたことがわかった。
居住者の退去後、マンションは解体される見通し。
取得価格は37億4000万円で、売り主は大和ハウスリート投資法人だ。
投資法人が2021年6月に売却を発表したものの、買い主を明らかにしていなかった。
カスタリア大堀ベイタワーは、地下鉄大濠公園駅から徒歩9分の場所にある。
延べ床面積1万6111㎡、戸数215の規模だ。
ディックスクロキ(2008年に経営破綻)が開発し、2006年に竣工。
大和ハウス・レジデンシャル投資法人(現大和ハウスリート法人)が2013年に29億1000万円で取得した。
マンションの基礎部分には、東洋ゴム工業(現TOYO TIRE)製の免震積層ゴムが使われていた。
地震時の揺れを抑える役割がある。
ところが、2015年になって免震ゴムが大臣認定の性能評価基準に適合していないことが発覚した。
東洋ゴム工業は当初、同社の負担で基準に適合した免震ゴムへの交換工事を実施する方針だったが、何らかの理由で断念。
投資法人からマンションのプロパティ・マネジメント業務を請け負っていたミヨシアセットマネジメント(本社:福岡市)は2021年7月、マンションを解体するため、6ヶ月分の賃料相当額を支払うのと引き換えに2022年6月までの退去を求める通知を居住者に出していた。
免震ゴムを交換する場合、建物をジャッキアップするなどして持ち上げる必要がある。
超高層のタワーマンションは建物の自重が大きいため、ジャッキを支える地盤や基礎梁を補強したり、交換工事中に地震が起こっても免震性能を発揮できるように、ジャッキの周囲にベアリングを組み込んだりする必要がある。
「居住者がいる状態で安全に工事を進めようとすると費用が膨らむ。居住者に工事中の一時転居を求めた場合も、手間と時間がかかる。結果的に、建物を解体した方が安く済むと判断したのではないか」と、免震構造に詳しい技術者はみる。
TOYO TIREによると、問題の免震ゴムが使われていた建物は全国に154棟あり、2021年7月時点で148棟が交換工事を終えている。
わずか築15年のカスタリア大濠ベイタワーが解体を選択したのは異例のケースとなる。
カスタリア大濠ベイタワーの空室率は2021年2月時点で58%と高い。
一方、TOYO TIREの取得価格37億4000万円は、空室率6%として算定した鑑定評価額と同じだ。
「今回の取得は建物解体に向けたスキームの一環だ」と同社コーポレートコミュニケーション部は説明している。
同社は今後の方針について明らかにしていない。
解体工事に前後して売却する可能性もある。

※日経不動産マーケット情報より引用