コロナ不況に伴う収入減で、賃貸住宅の家賃支払いが困難になる人が今後ますます増えることが予想される。厚生労働省は20日、救済策の一環で、家賃支払いを一定条件のもと最長3ヶ月支援する「住宅確保給付金」の支給要件を緩和した。一部の自治体で相談件数が急増している。

同制度は厚労省管轄の「生活困窮者自立支援法」に基づくもの。コロナ問題を受けて、これまでは離職・廃業した日から2年以内の人を対象にしていた支給条件の一部を、7日、離職していなくとも不可抗力で収入が大幅に減少してしまった人も対象に入れると各自治体に通知した。
東京都北区では、9〜13日の3営業日で計65件の相談がきた。普段の推移は現時点ではわからないが、申請を受け付けている「北区くらしとしごと相談センター」の職員によれば、「感覚では、非常に増えている」という。相談者の属性は非正規雇用者が大半だ。

福岡市でも急増している。9〜13日の3営業日の給付金相談件数は計121件。9日は22件、10日は35件、13日は64件と日に日に増えた。普段の相談件数は4〜5件程度だという。
家賃滞納を防止するため、業界団体も活用を呼び掛けている。

交易財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協:東京都千代田区)の事務局は「居住安定のために非常に有益で、離職などにより収入が減少し、家賃滞納の恐れがある人にとって不可欠な制度」と見解を述べた。20日の支給要件の緩和で、さらに利用を促進すべきと考えている。
同時に注意点も指南している。日管協は、給付金の支給制度がさまざまで、自立支援相談窓口に相談しないと支給要件に合致するかどうかわからないと懸念を示している。
本人申請が条件となる。入居者に申請を勧めたい管理会社や家賃保証会社、オーナーなどが代理で申請することはできないため注意が必要だ。

ただし相談急増で、一部で電話がつながりづらい自治体の窓口も出てきている。今後さらに増加が見込まれる中、厚労省は各自治体に対し、サポート体制の強化も呼び掛けている。

※全国賃貸住宅新聞より抜粋