
自治体による空き家への課税の動きが出てきた。京都市は「非居住住宅利活用促進税(空き家税)」導入に向けて条例を公布。大阪府寝屋川市も2月、「空き家流通促進税」の導入方針を発表した。地元不動産会社からは、空き家の売却・買い取り需要の高まりへの期待の声が上がる。
30年に徴税開始 別荘の定義に注目
人の住んでいない空き家に課税する制度の導入により、不動産会社への空き家に関する相談が増えていくことが予想される。
京都市は、空き家への課税を定めた「京都市非居住住宅利活用促進税条例」を2023年4月に公布した。
課税の対象は、市街化区域内にある、長期間居住実態のない住宅や別荘など。
税額の算出には、家屋の評価額と立地を踏まえた計算式を用いる。
家屋の固定資産税評価額に0.7%を乗じた額と、土地の評価額に応じた税率を床面積にかける立地床面積割の合計額だ。
京都市を中心に総合不動産事業を行うフラットエージェンシーは、現時点では空き家税導入決定による影響は感じていないものの、制度の周知が進むのに従って相談が増えるのではないかと予想している。
「京都市は管理不全な危険空き家への対策・指導の通知を送っており、通知を受けた空き家所有者は『すぐに対応しなければ』という切迫感を持つ。これが潜在的なニーズを掘り起こす契機になっていく」
同社では、京都市が運営するウェブサイト「京都市地域の空き家相談員」に相談員として社員5人を登録している。
同ウェブサイト経由で年10件ほど空き家に関する相談を受け、売買仲介や買い取り再販、再生・活用といった解決方法を提案しているという。
京都市で町家の再生などを手がける八清は「空き家税の課税開始時期が29年から30年に後ろ倒しになっている。課税対象のより詳細な基準を定め、管理システムを開発している段階なのではないか」と推察する。
担当者が注視するのは、課税対象として挙げられた「空き家・別荘」の定義だ。
同社が再生した物件の3〜4割は別荘として利用される。
さらに複数人が「共同入居契約」を結んで時間差で利用できる2拠点居住用の物件も増やしている。
「別荘の共同入居契約の物件、マンスリーなどがどう判断されるのかはまだ示されていない。課税対象の基準によっては顧客への提案も変わってくるだろう」


市内全域が対象6410戸に影響見込み
大阪府寝屋川市は、26年6月の市議会に空き家流通促進税の条例案を提出し、29年度からの課税開始を目指す。
寝屋川市は市内全域を対象とする。
同市が発表した「(仮称)寝屋川市空き家流通促進税条例(素案)」によると、市内の空き家1万5450戸のうち、賃貸用や売却用を除いた6410戸が課税対象となる見込みだ。
税率は、家屋の固定資産税と1㎡あたりの土地価格に家屋の延べ床面積をかけた額それぞれに対して50%としている。
寝屋川市を中心に賃貸管理・売買を行う関西ホームドリームは「空き家税の周知は、空き家の所有者に対しても不動産会社に対してもまだまだこれから」と話す。
29年の課税開始に向けての相談の増加には期待を寄せる。
担当者は、寝屋川市が不動産業界団体や学識経験者らで構成した空き家対策委員会に所属している。
同委員会へ寄せられる空き家に関する問い合わせは年間900件ほどに上るという。
「全国の自治体に空き家税が広がっていくことを期待している。多くの自治体が導入を進めれば、メディアで取り上げられる機会が増え空き家の所有者にも情報が届くようになる。空き家活用の機運がさらに高まるのではないか」


