中東情勢の緊迫化による資材高騰が、原状回復工事や大規模修繕工事、開発事業に影響を及ぼし始めている。油性塗料を薄めるシンナーは供給がストップし、防水工事ができない状況が発生。7月以降はさらに多くの資材や設備が値上がりする

ユニットバス不足、外壁は工期未定に

神奈川県川崎市で約480戸を管理する会社では、5月からユニットバスの供給が止まり、4件のリフォーム工事がストップしている。
5月22日時点で納期は未定となっており、既存ユニットバスのコーティングなどの再生工事への切り替えを検討中だという。
大規模修繕工事に関しても、メーカーからの油性塗料の納期回答がないため、着工しても工期は未定という状態だ。
足場はレンタル品であることが多く、工期が延びれば代金がかさんでしまう。
そのため足場を使う工事の着工は延期せざるを得ない。
クロスの貼り替えなどの原復にはまだ影響が出ていない。
しかし工事事業者からは、貼り替えに使う接着剤が不足しており、いつ供給が止まるかわからないと連絡を受けている。
万一貼り替えができなくなった場合は既存の壁紙の上から塗装を施す工事を行う予定だが、貼り替えに比べて工事代金は2倍近くになるという。
担当者は「原復の費用上昇に加え、原油高とは関係ないところでここ数年外注費用が高くなってきた。定期清掃なども値上げせざるを得ない状況になっている。さみだれ式に値上げの相談をしてしまうと、オーナーの抵抗感も大きくなるだろう。そのため値上げの相談はなるべくまとめて行うのに加え、相場に合わせた家賃の値上げなども行うことでオーナーの負担を少しでも軽便させたい」と話す。


防水の受注停止 設備を一括購入

香川県高松市を中心に1万6000戸超を管理する会社のグループの工事会社は、5月から屋上防水工事の受注を停止した。
シンナーが手に入らなくなってしまったためだ。
メーカーに問い合わせをしても納期の回答が来ない状況だという。
シンナーが納品されるようになるまでは、雨漏りなどの緊急事態には応急的な処置を行なって対応していく構えだ。
同社は管理物件を中心に年間約50件の大規模修繕工事と2300件程度の原復を手がける。
原復に関しては5月20日時点で資材の値上がりはなく、オーナーへの工事提供価格も変更していない。
しかし床材や壁紙メーカーからは、7月に2〜3割の値上げをするという通知が届いている。


新築開発ストップ 内製化で費用低減

愛媛県松山市を中心に1万戸超を管理する会社では、戸建て賃貸住宅の開発が中断している。
3月に入ってから断熱材が納品されなくなり、建築を再開することができない状態だ。
担当者は「いつ断熱材が入るかわからない。この状況が続けば投資用物件への融資などにも影響が出てくるのではないか」と話す。
年間1400〜1500件発生する原復には、5月20日時点で影響は出ていない。
しかし、原復を発注する工事事業者3社のうち1社からは、6月以降の工事代金値上げが通知されている。
シンナーやクロス用接着剤などはすでに入手が難しくなっており、工事事業者が抱えている在庫で5月分までを賄っていたという。

※全国賃貸住宅新聞より引用