国土交通省は、2023年の公示地価を3月22日に発表した。
全用途の全国平均は1.6%上昇だった。
用途別では、住宅地が22年比1.4%の上昇と堅調で、地方圏も一転、上昇した。
三大都市の住宅地は、2年連続の上昇となった。
東京圏では、2.1%増。
高級分譲マンションが供給されるエリアのマンション用地需要が高く、地価の上昇をけん引している。
大阪圏が0.7%増。
続いて名古屋圏も2.3%増となった。
地方圏の住宅地では、北海道札幌市、宮城県仙台市、広島市、福岡市の4市の平均変動率が8.6%増と10年連続の上昇。
同4市を除く地方圏は0.4%増加と、28年ぶりに上昇に転じた。
都道府県別でみると、住宅地の上昇率1位は北海道で7.6%。
次いで、福岡県4.2%、宮城県4%、沖縄県3.6%、東京都2.6%とトップ5を占めた。
下落率の上位5位では、和歌山県が最も高く、1.2%の下落。
次いで、愛媛県が1%、群馬県と鹿児島県が同率で0.8%、福井県が0.7%それぞれ下落した。
商業地は、全国平均が1.8%上昇。
東京圏は3%、大阪圏は2.3%、名古屋圏は3.4%と三大都市で上昇している。

住宅地上昇率 都道府県別トップ5

順位 都道府県 2022年比変動率
1位 北海道 7.6%
2位 福岡県 4.2%
3位 宮城県 4.0%
4位 沖縄県 3.6%
5位 東京都 2.6%

住宅地下落率 都道府県別トップ5

順位 都道府県 2022年比変動率
1位 和歌山県 ▲1.2%
2位 愛媛県 ▲1.0%
3位 群馬県 0.8%
鹿児島県
5位 福井県 ▲0.7%
※国交省「令和5年地価公示」を基に全国賃貸住宅新聞で作成

LPガス不透明料金是正へ

設備費上乗せの商慣行にメス

経済産業省資源エネルギー庁は、プロパンガス(以下、LPガス)の不透明な利用料金の是正に動く。
基本料金の定義の明確化や、LPガス業界および不動産業界におけるLPガスの取引適正化を目的とした制度改正の方針を、7月までに取りまとめる予定だ。
賃貸住宅に導入されるLPガス商慣行は、LPガス事業者が賃貸住宅オーナーに対し、LPガス本体の設備を無償貸与する営業方法で契約を結ぶことを指す。
オーナーから回収しなかった設備費は、LPガスの利用料金に上乗せされることで、入居者が不当に高い料金を負担している実態を指摘した。
さらに、一部のLPガス事業者は、無償貸与の商慣行の中で差別化を図るため、給湯器やコンロ、エアコンなど付帯設備も無償貸与することでオーナーの契約を獲得している実態がある。
これらの設備費も、利用料金に転嫁されている。
もう一つの課題が、賃貸住宅の入居者にLPガス事業者を選択する権利がないこと。
集合住宅に導入されるLPガスが1棟契約であるため、入居者は供給事業者を選べず、入居後に利用料金を知ることになる。

同庁は、2018年2月、ガス会社に対する取引適正化のガイドラインを改訂し、自社の料金メニューを公表することを求めている。
入居者が物件契約時に、LPガス料金を知ることができるよう促しているが、あくまでも要請ベースのため、公開するかどうかは各社にゆだねられている。
資源エネルギー庁は、契約窓口がオーナーとLPガス事業者とで一本化している点を指摘。
「設備費と利用料金の契約を、物件オーナーと入居者に分離することを検討している。これにより、LPガス事業者は、設備の無償貸与についてオーナーからの提案に応えにくくなる。結果、顧客獲得のための過剰な投資を防ぐことにつながる」と話す。

※全国賃貸住宅新聞より引用