エントランスの掲示板を情報交換に活用

東日本大震災の際には、津波警報、防災無線が通信機器やアンテナの損傷、電源喪失などで機能しない事例が多発しました。固定電話や携帯電話は、通信施設の破損や電源不足、安否確認等を行う電話が集中したことにより、非常につながりにくい状況が続きました。
自主防災組織等で、被災時の情報収集、情報発信の体制を構築し決めておくことが本来大変重要ですが、残念ながらなかなか取り組みづらい一面があります。ここでは災害時には、時間の経過とともに必要とされる情報が変遷するという大前提の基、対応策について触れたいと思います。
まず発災時には警戒警報、気象情報、避難情報が最優先で正確に取得したい情報となります。一刻を争う場合、この正確さが命取りとなる場合があります。心無い流言やデマ等に流されないようにしないといけません。特に重要なことで、発災時は正確な情報を基にした行動が生死の分かれ目となることを絶対に忘れてはなりません。この時点では防災行政無線・緊急速報メール・ラジオ・広報車・ツイッター等のSNSが有効と考えられます。これらの情報を基に、まずは自分自身の命を守る行動を取らなくてはなりません。特に緊急地震速報はどんな場所のときにも有効となります。
次に、発災から24時間以降には救援情報、被害情報、安否情報、ライフライン情報が正確に取得したい情報となります。テレビ・広報車・地域の巡回・ラジオ・ツイッター・フェイスブックが有効と考えます。この時点では身近な人を助けることや、全体の被害状況や今後の生活のための情報を取得していきます。では実際に個々のアパート・マンションでの実施検討例として以下に列記致します。
安否確認と連絡方法は最低限決めておきましょう。災害用伝言ダイヤル(171)の活用を考えましょう。また、集会室のホワイトボードや掲示板を入り口やエントランスの目だつ場所に設置すると情報交換に活用できます。ある程度階数がある場合に、電話が使用困難の場合は集合インターフォンを活用して連絡をすることも有効です。管理室や防災センターから発信可能な館内放送としての一斉同報の施設がある場合は、特に活用方法を事前に決めておくことが災害時に有効です。各階での確認・横の繋がりを大切にするのも重要です。最後に行政機関発信の、タイムライン(時間の経過で区切って、災害への対策を進めていく新防災システム)を理解しておきましょう。非常時では全ての情報発信機器の活用を考えることが重要です。
前記のことがとっさにはできるわけもなく、避難防災訓練において情報伝達訓練を取り入れておくことをお勧めします。情報が氾濫している現在でも、非常時には情報が正確に、欲しい人に伝わりにくい事態になることを理解しておきましょう。