「賃貸住宅の管理業法等の適正化に関する法律」(以下、管理業法)が15日から全面施行となる。
同法に基づいた賃貸住宅管理業登録精度が同日から開始される。
管理業法におけるサブリース事業に関する部分の規定などについては、既に施行されており、同法が完全に施行されることで、賃貸住宅管理業法は、法制度に基づいたビジネスとして新たなスタートを切ることになる。

登録期限は22年6月

管理業法は、賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るとともに、不良業者を排除し、業界の健全な発展と育成を図ることを目的として、2020年3月に閣議決定され、同年6月に成立した法案だ。
大枠として、①サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置②賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設の二つから成る。
①については20年12月15日に施行されており、今回は②が施行され、賃貸住宅管理業登録制度が始まる。
同制度は管理戸数が200戸を超える賃貸住宅の管理会社に対して、22年6月15日までに同制度への登録を義務付けるというもの。
登録制度の設計とともに、賃貸住宅の管理業務について法的な定義づけがなされた。
移行期間までに登録をしない場合や、登録に伴って義務付けられた事柄に違反した場合の罰則規定も設けられている。
登録に際して、事業者は賃貸住宅の管理業務に係る拠点ごとに「業務管理者」を設置する必要がある。
「業務管理者」は国土交通大臣の認定を受けた機関で実施される認定試験に合格し、認定を受ける必要がある。
ただし、制度開始時点では試験の実施機関が未定だ。
移行措置として、22年6月までは規定の講習を受けた「賃貸不動産経営管理士」もしくは「宅地建物取引士」を「業務管理者」とすることが可能だ。
以降の「業務管理者」の要件については、登録試験および指定講習の実施状況や、管理業法の施行・運用状況を踏まえて、見直しを検討する。
登録事業者には、「業務管理者」の設置のほかに、管理を受託する前の重要事項説明、管理する家賃などについて自己の固有財産と分別して管理すること、業務の実施状況などをオーナーへ定期的に報告すること、などが義務付けられる。

賃貸住宅管理業登録制度の概要

①事業者登録
管理戸数が200戸を超える事業者は、2022年6月15日までに同制度への登録が必須になる
②業務管理者の配置
管理業務に係る拠点ごとに、規定の資格を有する「業務管理者」を設置しなければならない
※事業者登録時に配置状況に関する書類が必要
③義務の遂行
登録事業者には、管理受託契約を結ぶ前の重要事項説明、管理する家賃などについて自己の固有財産と分別して管理すること、業務の実施状況のオーナーへ定期報告などが義務付けられる

賃貸業界の変化は加速

20年12月15日に施行されたサブリース事業に関する措置は、サブリース事業に係る規制の実効性を確保し、サブリース業者らとオーナーとのトラブルを防止するためのもの。
こちらは、主に①規制の対象となる勧誘者②禁止される誇大広告・不当勧誘③オーナーに説明すべき家賃減額リスクなどの内容(重要事項説明)について規定した。
また、5月には「宅地建物取引業法」における書面規定の改正を含む「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」が可決、公布された。
これによって、22年の5月中旬までには、重要事項説明書等の電子書面での交付が全面解禁になることが確定した。
賃貸住宅の仲介業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進むと見られる。
法整備だけでなく、新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、賃貸住宅業界を取り巻く環境は急速に変化している。

賃貸住宅管理業に関連する最近の法整備

時期 内容
17年10月〜 賃貸仲介におけるIT重説の本格運用
20年12月〜 サブリース事業における契約の適正化のための規制(サブリース新法)
21年6月〜 賃貸住宅管理業登録制度
22年5月までに開始 賃貸仲介における重要説明事項説明書等の電子交付の本格運用
※全国賃貸住宅新聞より引用