【調査】セール&リースバック取引が2000億円に

みずほ信託銀行系のシンクタンクである都市未来総合研究所が、2020年度(2020年4月〜2021年3月)に開示または報道された法人などによる国内不動産取引を集計。
その結果、自己使用の不動産を売却して賃貸するセール&リースバック取引が2000億円に達したことがわかった。
2020年度の取引全体は、件数が2019年度比-20.8%の661件、金額が同-18.8%の3兆6283億円と、いずれも減少した。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って発出された1回目の緊急事態宣言が解除された第2四半期(7月〜9月)の取引額は期ずれと見られる取引もあって前年同期比+42.1%と増えたものの、他の3四半期は同マイナスだった。
一方、1件あたりの平均取引額は上昇した。
100億円以上の大型取引が取引総額に占める割合は、2000年度以降で最大となる69.3%となった。
セール&リースバック取引の増加も目立つ。
取引額は1990年代後半以降、バブル崩壊後の財務リストラや持たざる経営志向などを背景に実施されてきた。
2020年度はこうした背景に加え、新型コロナの影響に伴う資金確保やワークプレイスの見直しニーズも手伝って、2019年度の2.7倍に増加。
2008年の世界金融危機以降では、2013年度に次いで2番目の高水準となる総額2000億円を記録した。
一般の事業法人などの不動産売却額全体に占める同取引の割合は29%に達している。
セール&リースバック取引の買い主は従来、不動産会社やSPCなど多様なセクターが担ってきたが、2020年度は外資系法人の取得が目立った。
外資系法人の取得額全体に占める同取引の割合は14.7%に高まった。

都市未来総合研究所「不動産トピックス2021年6月号『事業法人等によるセール&リースバックが増加〜法人による2020年度の国内不動産の売買取引〜』ほか」

【売買】24物件を255億円で取得、サムティ・レジデンシャル

サムティ・レジデンシャル投資法人は8月3日、賃貸マンション24物件を取得する。
価格は計255億6500万円。
売り主は20物件がスポンサーのサムティ、1物件はサムティホテルマネジメント、その他3物件は国内法人だが、詳細は明らかにしていない。
24物件のうち最も取得価格が高いのは、福岡市中央区のサムティ警固タワーで、価格は43億2000万円。
サムティから取得する。
地下鉄の薬院大通駅から徒歩8分の場所にある。
地上20階建地下1階建て、延べ床面積1万396㎡、戸数130の規模で、2008年に竣工した。
鑑定評価上のNOIは1億8650万円で、取得価格に対する利回りは4.3%になる。
投資法人は取得後、物件名をS-FORT警固タワーに変更する。
投資法人のほかに、札幌から鹿児島に至るまで主要都市で、3億〜33億円程度の23物件を取得する。
今回の取引によって、投資b法人の運用資産は156物件、取得価格ベースの資産規模は1438億700万円になる。

【売買】電通が本社ビルを売却へ、2700億円で

電通グループは6月29日、港区東新橋にある電通本社ビルの売却に向け、検討を行うことを決議したと発表した。
28日に購入意向表明書の提出を受けての措置。
取引が成立した場合、2021年12月期決算で譲渡益約890億円を計上する見込みだ。
簿価が約1790億円であることから、売却価格は2700億円前後になるとみられる。
売却先は明らかにしていない。
都営浅草線の新橋駅から徒歩3分、JR新橋駅から徒歩4分の場所に同物件がある。
劇場や店舗からなるカレッタ汐留を併設する電通本社ビルと、汐留アネックスビルで構成されている。
いずれも2002年の竣工で、前者は地上48階地下5階建て、延べ床面積21万3948㎡の規模。
後者は地上9階地下3階建て、延べ床面積1万1946㎡だ。
電通グループは売却後、同社およびグループ会社が使用するオフィス部分と電通ホール、スタジオなどを賃借する計画。
期間は譲渡実行日から11年間だ。
これを機にニューノーマルにおける多様かつ新しい働き方を念頭に、効率的なオフィス環境を整備していく。
電通グループは、2020年8月から事業オペレーションや資本効率に関する見直しに着手した。
2021年4月には、電通八星苑と電通鎌倉研究所を譲渡。
約300億円の売却益を計上している。

【売買の概要】

名称 電通本社ビル、汐留アネックスビル
売り主 電通グループ
価格 2700億円前後(推定)
所在地 港区新橋1-8-1(住居表示)、1-11-1ほか(地番)
最寄り駅 地下鉄新橋駅徒歩3分
面積 土地1万7244.24㎡、延べ床22万5895.56㎡(2棟合計)
構造 S・SRC・RC造
階数 地上48階地下5階(電通本社ビル)、地上9階地下3階(汐留アネックスビル)
用途 事務所、劇場、店舗
用途地域 商業
容積率 800%(法定)
竣工 2002年
取引時期 未定
取引形態 信託受益権
※日経不動産マーケット情報より引用