本紙が繁忙期における賃貸仲介の最新動向を調査した「繁忙期速報2023(以下、繁忙期速報)」では、成約が「増加した」と回答した不動産会社数が「減少した」を1割上回った。
新型コロナウイルス下で3年目を迎えた賃貸仲介マーケットは回復傾向にあるといえそうだ。
成約増加の理由としては、法人契約の増加が第3位に上がった。

本紙は、全国の不動産会社を対象に、1〜2月中旬までの繁忙期の動向についてのアンケート取材をファクスとインターネット上で実施。
360社から回答を得た。
調査期間は2月7日〜16日。
「前年繁忙期(1〜2月中旬)と比較した成約件数動向について」は、「横ばい」の回答が38%と最も多かったが、次いで「増加」:が35%となった。
「大幅に増加」と「増加」を合わせた回答の割合は39%と、およそ4割を占めた。
減少の回答は、「減少」21%と「大幅に減少」3%を合わせて24%。
増加が減少を15ポイント上回った。
賃貸仲介の成約状況が前繁忙期よりも改善傾向にあるといえる。

「社宅代行、動き活発」成約率の上昇実感

成約件数が増加したと回答した企業139社で、増加の理由のトップは「コロナ禍の影響」。
46社と全体の33%を占めた。
次いで「インターネット集客の強化」が41社、3番目は「法人契約の増加」で35社だった。
年間5010件の賃貸仲介を行う仲介店舗は1月末時点での成約数は、2022年同月比で10件増加と微増だ。
担当者は「特に、社宅代行事業者の動きが活発な印象。反響から成約まで、22年1月比で1〜2割高まっている」と話し、契約につながる案件が増えているとする。
同社は、23年から法人営業の専任担当の人員を強化したため、この効果も考えられるとみる。
同社の賃貸仲介店舗は、反響数、来店数、成約数がいずれも22年比で横ばいから微増の状況だという。

学生の成約に苦戦 物価高が影響か

成約件数が減少したと回答した企業86社の理由は、トップは「仲介担当スタッフの減少」が30社と34.8%を占めた。
次に多かったのは「コロナ禍の影響」で28社、「法人契約の減少」が23社の順となった。

年間仲介件数2146社の仲介店舗は、22年の繁忙期と比較し、成約件数が減少している。
その中でも学生の契約が伸び悩む。
同社の担当者は、「コロナの影響とは思えない。物価高などの影響による、引っ越しの見送りや節約などで、部屋探しをする人の数が減っているのではないか」と推測する。
反響数、成約件数ともに22年の同時期と比べ、約15%減と苦戦。
仲介担当者の減少などの影響も要因として挙げる。
物価の高騰が続く中、生活費上昇の影響が、賃貸仲介にも波及することが懸念される。

※全国賃貸住宅新聞より引用