自分を守る「防災力」を高めて備え

災害時での動きを改めて時系列と立場で追ってみたいと思います。
災害が発生した際の活動は、「自助」自らを守る行動、「共助」地域市民とともに助け合う行動、「公助」国や自治体による行動の3種類が大まかな分類となります。平たくいえば自分の身は自分で守るのが「自助」。自分たちの地域は自分たちで守るのが「共助」。これに足りない部分を行政機関が補うのが「公助」となります。比率が自助・共助・公助で7:2:1ともいわれ、やはり圧倒的に自助であり、共助も大切です。
このうち公助活動の実際は、消防、警察、自治体職員を中心として行われるほか、高度の専門的活動については資格保有者や、それらを擁する学協会・業界団体・専門会社が、国や自治体からの要請を受けて活動が行われます。しかしながら大きい組織の小回りは難しくなりがちであり、特に72時間は命を助ける活動を優先することとなります。
一方、災害の発生直後から初期段階における活動(公助が動き出す前の活動)については、自らの力と近隣住民同士の協働で自助・共助の活動を災害発生時に実践する人材が必要となります。防災管理者、赤十字救護ボランティア、災害救助ボランティア、防災士などの資格の公的、民間資格があります。平常時において自助・共助による防災活動について考え、訓練をし、防災の重要性を啓発する活動の担い手と言えます。集合住宅においても自助と共助がやはり重要なのですが、こうしたスキルを持つ人材が近くにいるかどうかをなかなか確かめにくいという弱点があります。やはり、自分自身の「防災力」を高めるのがまずは近道なのかもしれません。
このような自助・共助の防災活動に対する考え方は、阪神・淡路大震災以降に急速に発達してきています。震災以降に組織化し大規模災害時の減災知識の集約化が進んできています。それでもなお、発生がある程度切迫してきている首都圏直下型地震や南海トラフ地震が実際におきた場合には、災害のボランティアの活動だけでは対応しきれないのはいうまでもありません。
国民、地域の住民、集合住宅の住民、そして家族全員が防災の知識を高めて「防災力」をより強くすれば、きたるべき大災害にも立ち向かえます。そのためにも備蓄などの準備と防災訓練を積み重ねていかなければなりません。